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上条(幼少期)「にっき?」

ライトノベル新刊情報サイト「ラノベ総合案内所」が出来ました.

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 16:48:20.14 ID:fGIKZJZr0
○○年3月××日

おとうさんにいわれて。にっきっていうのをかくことにした。きょうあったことおかけばいいみたい。
きょうはがくえんとしにやってきた。ばけつみたいなへんてこなきかいがたくさんあって。とってもへんなまちだ。
ぼくがすんでいるところわだい13がっく。これわおぼえておくようにっていわれた。13。13。13……と。
ほかにもおなじところにすんでいるこがいて。まいにちがおとまりみたいでたのしい。
ようちえんでわ。ぼくがやくびょうがみだからみんなにきらわれちゃったけど。ここではみんなおともだちになってくれるかなあ。
しょうがっこうは4がつから。たのしみ。

4月××日
きょうわにゅうがくしきだった。
みんなにわいっぱいいっぱいはなしかけた。とってもなかよくなれた。
でもぼくがやくびょうがみだとわかったら。やっぱりきらわれちゃうのかなあ。
じゅぎょうわこくごとかさんすうとかわおとうさんからきいていたけど。あんきじゅつっていうのがあった。
あんきっていうのわたくさんおぼえることみたい。ぼくおぼえるのにがてなんだよなあ。

5月××日
ぼくのふこうがばれちゃってもみんなわなかよくしてくれた。とてもうれしい。
みんなぼくをふこうよけとかいってくれる。ぼくもやくにたてるんだ。
でもじゅぎょうはとてもたいへん。
こくごはにっきのかきかたにやくだつからすき。だけどさんすうはとてもむずかしい。
あんきじゅつとかきおくじゅつはへんなおくすりのんだり、あたまにぺたぺたへんなものはるからにがて。
あとがくえんとしにはへんなかみのこがいっぱいいる。
ぼくよりすこしおねえさんのあかいかみのことか、ずっとにこにこしてるあおいかみのおとこのことか、あとしろいかみのおとこのこもいた。
でもぼくだったらぎんいろがいいな。きんはあんまりめずらしくないし。
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 16:52:08.30 ID:fGIKZJZr0
6月××日
きょうはくらすのこのひとりがてからひをだした!びっくりした!!
ちょーのーりょくっていうらしい。そのこもせんせいもとてもよろこんでいた。
そのこはすっごくちからをこめたらできたっておしえてくれたから、ぼくもおなじようにやってみた。
ひはでなかったけど、おならがでた。
おともだちのしあげくんもおなじようにやったけど、だめだったみたい。
でもぼくとちがって、しあげくんはおならじゃなくてうんこがでた。みんなからうんこまんってよばれることになった。
ぼくはおならでほんとうによかった。

7月××日
一がっきもそろそろおわり。さんすうはだめだけど、かんじは少しずつおぼえてきた。
ぼくの名前は上条当麻。かんじでかくと少しかしこくなったきぶん。かきやすい名前でよかった。
おともだちの名前も少しかけるようになった。一番かんたんなのは浜面仕上くん。

あと今日はシステムスキャンっていうのがあった。のうりょくのテストみたい。
ぼくにはどんな力があるのかとてもワクワクしてたけど、レベル0だった。これって0てんってことなのかな?ざんねん。
ほかにもレベル0の子たちはたくさんいたけど、その子たちもすっごく小さなふしぎな力はあった。ほんとうになにもないのはぼくだけ。
ちょっぴりなきそうになったけど、仕上くんはテストにつかう変なカードやきかいの方がわるいって言って、やぶいたりこわしたりしてた。
ぼくはなんだかうれしくなっていっしょに同じことをした。でもそのあと先生にすごくおこられた。
みんなはまだ仕上くんのことをウンコマンってよぶけど、ぼくはちゃんと名前でよんであげよう。
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 16:54:20.02 ID:fGIKZJZr0
8月××日
夏休みはとても楽しい。まいにちまいにちおともだちと遊んでる。
でもサッカーとかにのうりょくをつかうのはずるいと思う。テレキネシスとかで遠くからボールを動かされちゃうとなにもできない。
それでものうりょくきんしルールとかは作らない。だってここはがくえんとしなんだから。

それと今日は、近くでボール遊びをしてた白いかみの子がまちがってのうりょくをつかって、いっしょに遊んでいたおともだちをケガさせちゃったみたい。
それでほかの子たちがその白いかみの子にひどいこと言ってて、白いかみの子はずっとごめんなさいって言っていた。
ぼくと仕上くんで止めようとしたけど、その前におとなの人たちがその子たちを止めて、白いかみの子にこわい顔でなにか言っていた。
仕上くんはわざとじゃないのにかわいそうだと言ったけど、おとなの人たちは聞いてくれないで、仕上くんをつかまえてしまった。
ぼくはおとなの人たちからにげてにげて、白いかみの子のところに行こうとしたけど、やっぱりつかまった。もう少しだったのに……。
でもつかまる前に一回だけ白いかみの子と目があった。なんだかとてもさびしそうな目だった。

ぼくと仕上くんはりょうにもどされて、今はあぶないから外に出ちゃダメって言われた。
あの子はそんなにあぶないのかな。おとなの人は頭がいいから分かるのかな。
でもぼくはどうしてもあの子があぶない子だとは思えない。なんでだろう?

9月××日
二学期が始まった。
今日はさっそくシステムスキャンがあったけど、やっぱりレベル0だった。
でもそこまで気にしないことにした。友達と遊んでるだけで楽しいし、お父さんもお母さんもそれでいいって言ってくれた。

そういえばあのあの白いかみの子はどこに行ったんだろう。ぜんぜん見なくなっちゃった。
友達になろうと思ったんだけどなぁ。
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 16:56:16.73 ID:fGIKZJZr0
9月19日
今日から一週間は運動会!だいはせーさいって言うらしい。
お父さんやお母さんも見に来てくれた。お母さんのおべんとうはやっぱりおいしい。
中学校のきょうぎとかは火の玉とかとんでて、とってもあぶなそうだったけど、こっちはそんなこともなくて、ふつうの運動会だった。
でも高学年の子とかはすごいのうりょくをつかえる子もいた。いいなぁ。

かけっこは一番だったけど、しょうがいぶつきょうそうは、のうりょくで転ばされちゃってビリだった。
でもそのあとおこった仕上くんを止めるのが一番大変だったな。

夜のナイトパレードはとってもきれいだった。
ぼくはお父さんとお母さんと見てたけど、周りの中学生や高校生の人たちは、男の子と女の子の二人で見てる人が多かった。
ふしぎに思って聞いてみたら、ぼくもお父さんの子だから、大きくなったらいろんな女の子といっしょに見るようになるってお母さんがおしえてくれた。
よく分からなかったけど、なんだかお母さんの顔がこわかったから、あまり聞かないことにした。
お父さんはなぜかひたすらあやまっていた。

9月27日
今日でだいはせーさいもおしまい。
ながてんなんとかっていう学校がゆうしょうしたみたい。

お父さんはおしごとがあるからすぐに帰っちゃったけど、お母さんはずっといてくれた。
本当は帰ってほしくないけど、わがままは言えないからがまんする。

あとぼくのお母さんはすごくわかく見えるみたい。
先生はぼくのお姉ちゃんだとかんちがいしてた。
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 16:58:12.39 ID:fGIKZJZr0
10月××日
今日はウサギのせわをする係を決めた。
りっこうほしたのは仕上くん。ビックリした。
でも二人ひつようみたいで、一番なかがいいぼくもなることになった。

10月△△日
仕上くんとケンカした。げんいんはよくおぼえてない。
結果はぼくの負け。仕上くんは強かった。
でもそのあとあやまってきたから、ぼくもあやまった。
これでなかなおり。でも次は負けない。

11月××日
今日は高学年の子がぼくと同じ一年生をいじめているところを見た。
ぼくと仕上くんで止めようとしたら、のうりょくをつかってきて二人ともやられちゃった。
そのあとは先生が止めて、ぼくたちはしょくいんしつに連れていかれた。
おこられると思ったら、なんかほめられた。でもああいう時は先生をよんだ方がいいみたい。
いじめられてた子にもお礼を言われた。ぼくたちはなにもやってないんだけどなぁ。
それでもその子はぼくたちのことをヒーローみたいだったって言ってくれた。
ヒーローかぁ、いいな。
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 16:59:40.57 ID:fGIKZJZr0
11月△△日
今日はいちはならんさいだ。ぶんかさいっていうものらしい。
いろんな中学校に行ったけど、どこもとても楽しかった。
仕上くんはしゃげきがとてもうまい。ぼくもやってみたけど一番大きなゲコ太にも当たらなかった。
コツを聞いてみたけど、感じろ!って言われた。よく分からない。サイコメトリーとかでもつかうのかな?

12月××日
今日はクラスでレベル2の男の子がレベル0の女の子をばかにしていじめてた。
ぼくはなんだかとってもはらがたって、その男の子をぶっとばした。
顔にむかって火がとんできたけど、手でかばったらなぜか消えてた。むこうがえんざんをまちがえたのかな?
そのあと先生にしかられた。ちょっとやりすぎたみたい。
でも相手の子もレベルが高いからってほかの子をばかにしてはいけないっておこられてた。うん、いいきみだ。
女の子からはお礼を言われた。ただぼくがむかついただけなのに、お礼を言われると変なきぶんだ。
それになんだかその子は顔を赤くして、もじもじしていてようすが変だった。
そのあとそれを仕上くんに聞いてみたら、うんこをがまんしてたんだろうって言ってた。なるほど。

12月24日
今日はクリスマスイブ。正しくはイヴ?よく分かんない。
もう学校は冬休みで、りょうはみんなでかざりつけをして、とてもきれいになった。
朝にはレベル4の人が空にでっかくクリスマス中止のお知らせっていうのを出していてとってもビックリした。
その人はアンチスキルにつかまったみたいだけど、なんでそんなことしたんだろう?

プレゼントはなにおねがいしてもいいって言われたから、ウワサのきょすうがっくへのカギをおねがいすることにした!
そこはぼくだけのひみつきちにしよう。でも仕上くんにはおしえてあげようかな。
明日の朝が楽しみ。

12月25日
プレゼントはAIMなんとかについてっていうぶあつい本だった。ふこうだああ。
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:02:07.91 ID:fGIKZJZr0
××年1月1日
新しい年がやってきた。
かきぞめで今年のもくひょうを書いた。ぼくは『幸福』。なんか先生が変なかんじにわらっていた。
仕上くんは『低能力者』。レベル1って読むらしい。あと来年はレベル2らしい。
ということは仕上くんは六年生でレベル5! すごいや!

2月××日
今日はぼくのたんじょうび!7才になった!
プレゼントもたくさんもらってとてもうれしい。
なんでおとなの人たちは年をとりたくないんだろう?

2月14日
今日はバレンタインデー。
クラスの女の子たちがチョコをくれた。とてもうれしい。
ぼくのこと好きなのかなと思ってドキドキしたけど、他の子たちにも配っているらしい。
しかも他の子たちのは、お店で売っているしっかりとしたものなのに、ぼくのだけどれも少し形がくずれていた。
これって嫌われてるのかなぁ……。
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:04:03.82 ID:fGIKZJZr0
3月××日
今日はしゅうぎょうしき。一年はあっという間だった。
そして今日、仕上くんとまたケンカした。ケンカというより……勝負?
今までずっと負けてきたけど、今日は右ストレートがきれいに入って勝った!初勝利だ。

仕上くんは転校するらしい。みんなには言っていたけど、ぼくだけにはずっとかくしていたみたい。
親がもっといい学校でのうりょくかいはつをっていうことらしい。ぼくはすごくさびしいけど、仕上くんをひきとめちゃいけないと思って言わなかった。
そのかわりこんど会う時はおたがいレベル5だって約束した。けどぼくにとってはレベルよりも会うことの方が大事だ。
仕上くんがりょうを出てぼくにせなかをむけた時、ぼくは泣いちゃった。こういう時は心配かけないようにわらっていようって思ったのに、ダメだった。
それでもがんばってまたねって言ったら、仕上くんに「なーに泣いてんだよ!」って言われちゃった。

でも顔は見えなかったけど、仕上くんも泣いてたよね?
声がすっごくふるえてたもん。

4月××日
今日はしぎょうしき。二年生だ。なんだかんだ日記も毎日書いて一年以上も続いたな?。
仕上くんはいないけど、いつまでもおちこんでられない。次会ったときもレベル0だったら、レベル5になった仕上くんに笑われちゃうからね。
レベルを上げたいって先生に聞いたら、パーソナルなんとかっていうのがどうのこうのって難しい話をされた。
とにかく自分を信じて、できるって思うのが大切みたい。
よし、こんどのシステムスキャンはがんばるぞ!

4月△△日
やっぱりレベル0だった。う?ん、レベル5への道はけわしい。
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:05:18.34 ID:fGIKZJZr0
6月××日
なんか知らないお姉ちゃんに話しかけられた。
え?と名前は、くも……なんとかって子。クモ姉ちゃんでいいや。
クモ姉ちゃんは、さいきんぼくのまわりで変わったことはおきなかったかとか聞いてきたけど。
なんでそんなこと聞いてくるんだろう?
とにかくぼくのまわりや体に変わったことがおこったら知らせてほしいらしいけど。
同じ学校のせいとみたいだけど。
……クモ姉ちゃんがたくさん「けど」って使うから少しうつっちゃったよ。

7月××日
やっぱり今日のシステムスキャンもレベル0だ。どのきかいもあいかわらずピクリともはんのうしない。
これはおかしなことだと思って、クモ姉ちゃんにそうだんした。
クモ姉ちゃんはなんか難しい顔をしてブツブツ言っていた。
聞こえてきたのは「げんせき」って言葉。げんせき? 石のことだよね?
クモ姉ちゃんが言うには、ぼくはとっても変わった能力を持っているみたいで、きかいがはんのうしてくれないのかもしれないらしい。
う?ん、変な能力じゃなくていいから、火とか電気とか分かりやすいのがいいよ。
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:06:38.36 ID:fGIKZJZr0
10月××日
今日は外で遊んでいたらまた知らないお姉ちゃんに話しかけられた。
とってもきれいな服を着ていて、長いかみはサラサラだった。ちょっとドキッてした。
どうやらいっしょにいた大人の人たちとはぐれちゃったみたい。この辺りはあまり知らなくて帰り道が分からないみたいだった。
でもぼくもその子のお家なんて知らないから、大人の人たちが見つけてくれるまで話し相手になってあげることにした。
そのお姉ちゃんはレベル4みたい。能力はめると……なんとか。聞いたことないや。
能力を見せてってお願いしたけど、危ないからダメって言われちゃった。ざんねんだなぁ。
でもお姉ちゃんが言うにはビームをうてる能力らしい。すごいや! じゃあ目からビームやってよって言ったけど、おこられちゃった。

レベルアップのコツも聞いてみた。自分の世界を作るかんじらしい。よく分かんないや。やっぱりレベル4の子は頭もいい。
でも仕上くんも頭は良くないから、きっと分かっていないはずだ。置いていかれたりはしないはず。
少ししたら大人の人たちがやってきた。みんな白い服を着ていてぶきみだった。けんきゅーいんってやつかな?
お姉ちゃんはさいごにえがおでありがとうって言うと、その人たちといっしょにどこかへ行ってしまった。
また会いたいなぁ。

12月××日
今日はちょっとしたさわぎがあった。
なんか白いつばさをはやした子が空をバサバサ飛んでいたんだ。
どうやらそれも能力らしい。本当になんでもできるんだなぁ。
ぼくは大声でなんて能力なのか聞いたら、だーくまたーっておしえてくれた。カッコイイ!
自分のことをオレっていうのも強そうだし、マネしようかな。
でもだーくなのに白いつばさなんて、ちょっと変わってるなぁ。

しばらくするとその子はたくさんのアンチスキルやジャッジメントにつかまっちゃった。
自由にとばせてあげればいいのに……なんでダメなんだろう?
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:07:43.61 ID:fGIKZJZr0
12月△△日
さいきんよくケンカする。だんだん能力が使える子も出てきて、使えない子をいじめ始めたんだ。
オレはそれがどうしても許せなくて、ケンカばかりしている。
だからちょっとケンカは強くなった気がする。相手が能力者でも一人くらいなら勝てるようになった。

でも先生に言われて、すぐにパンチしちゃダメだと気がついた。これからはまず話してみよう。
でもなんて言えばいいんだろう。う?ん、とにかくぼくの思っていることを話せばいいのかな。少し長くなっちゃいそうだけど。

○○年4月××日
3年生になった。この街にもやっと慣れてきた。
道も第13学区ならだいたい分かるようになったけど、中学生になったら第7学区に住むことになるみたいだから、また覚えないと。
自販機は試験用のものが多いらしくて、ヘンテコなものばかりだ。
無難なのは「ヤシの実サイダー」とか「ザクロコーラ」とか。間違っても「ガラナ青汁」なんかに挑戦しちゃダメだ。

6月××日
久しぶりにクモ姉ちゃんに会った。
変な事は起きていないかって聞かれたけど、何にもない。いつも通りレベル0だ。
でもクモ姉ちゃんは、オレが少したくましくなった気がするって言ってた。照れる。
なんか悔しいからクモ姉ちゃんの方もキレイになったよって言ったら、笑顔でありがとうって言われた。すごい、オトナのたいおーだ。
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:09:36.13 ID:fGIKZJZr0
10月××日
街に変な服を着た長い黒かみの女の子がいた。お正月の神社とかでよく見る服だ。
でもまだお正月は先だし変なのって思ってたら、いっしょにいた友達が説明してくれた。
どうやら最近ではああいう服がはやっているみたいで、その友達のお兄さんも大好きらしい。
あれって女の人が着るものじゃないの?って聞いたら、ようは「もえー」って事らしい。
「もえー」ってなんだろ? その友達もそこまでは分からないみたい。

でもその女の子はどこか悲しげな顔をしていた。何かあったのかな?
聞いてみたかったけど、あまり知らない人の事をずかずか聞くものじゃないって言われた事もあったから止めておいた。

○○年2月××日
学園都市の目標を暗記してこいって言われた。

『神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの』

つまり神様になるってこと? 良く分かんないや。
でも前に見た、超能力で翼を生やして空を飛び回っていた子は天使みたいだったし、本当になれるのかも。
でも神様ってどんなのなんだろ。悪口とか言ったら天バツでカミナリとか落ちてきそうだ。こわいな?。

4月××日
いつの間にか四年生。早いもんだなぁ。
オレは相変わらずのレベル0。システムスキャンなんて大っ嫌いだ。
あとレベルの高いやつのいじめもなかなかなくならない。
でもオレはまずはちゃんと話す、でもだいたいはその後ケンカになっちゃう。難しいな。
最近オレのことを先生みたいだっていうやつもいる。なんで??
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:11:28.52 ID:fGIKZJZr0
6月××日
今日は授業で上の学年の子達がやってきて、能力を見せてくれた。
パイロキネシスにエレクトロマスター、エアロハンドにテレキネシスにテレパス!
なんだかサーカスみたいで面白かった。いいないいな?。
でもオレが一番気になったのは、メガネのお姉ちゃんが見せてくれたクレアボイアンス。透視能力だ。
だってそれが使えれば……うん、とってもいい世界だ。
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:11:51.30 ID:fGIKZJZr0

10月××日
今日は社会科見学に行った。場所は病院できんじすなんとかって病気を調べているみたい。
それは体がどんどん動かなくなってしまう病気で、最後には死んでしまうらしい。
そこにいるガラスの向こうの子供たちはいっしょうけんめい頑張っていた。なにかしてあげたかったけど、何もできなかった。ただガンバレって叫んだだけだった。
それでもそれを聞いた子たちはオレの方を見て、汗まみれな顔でニッコリ笑って親指を立てた。とても強い、そう思った。
なにもできないオレはすごく弱く感じた。

色々と説明してくれる研究員の中にはオレと同じ子供が二人もいた。二人とも女の子。
一人はオレより年上で、人形のような服を着ていて、目がギョロっとした少しぶきみな子。先生に聞いてみたら、脳医学の天才らしい。
もう一人はオレより年下、かわいらしい子で、茶色いかみがピョコンとアンテナみたいに飛び出している。
その子はエレクトロマスターで、この病気を治せるかもしれないらしい。オレより小さいのにすごいな。
でも直接話してみたけど、まだレベル1みたいだ。レベル1のエレクトロマスターならオレのクラスにもいるけどなぁ……。才能があって、将来ゆーぼーってやつなのかな?

その茶色いかみの女の子はすぐにクラスのみんなに囲まれちゃったから、オレはギョロ目の女の子に話しかけることにした。一人だけ無視するのはかわいそうだし。
初めはぶきみな感じだったけど、話してみたら普通の子だった。色々聞いてみたけど、とても分かりやすく教えてくれた。
でも時々びこーずとか、はうえばーとかって言葉がまじってたけど、外国語なのかな? それとも日本語だけどオレが知らない難しい言葉とか?

そのギョロ目の子と話していたら、後ろからちょんちょんってつつかれた。ふりむいてみたらさっきの茶色いかみの子だった。
わざわざみんなの輪から抜けてきて、オレと話したいらしい。なんでオレ?って聞いたら「分からない」って言われた。なんだそりゃ。
でもすぐにその子たちは大人の研究員たちに連れて行かれてしまった。
茶色いかみの子は「また会える?」って聞いてきたけど、分かんないって答えた。たぶんその子が不幸にまきこまれれば、会えるだろう。
でもその大人の研究員たち、笑ってはいたけど……なんか嫌な感じがしたな。なんでだろう。

ちなみに茶色いかみの女の子は、クラスの男の子に大人気だった。たしかにかわいかったけど、オレはもうちょっとお姉ちゃんがいいなぁ。
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:13:58.61 ID:fGIKZJZr0
12月××日
今日は外国人のキンパツの女の子に「ハロー」って話しかけられた。いや、「ヘロー」だっけな。
とにかくオレは焦りまくって、とりあえず知っている「ハロー」と「ヘルプミー」を言いまくった。
そしたらその子は大笑いしだして、ふつうに日本語で話してきた。
なんだかメチャクチャはずかしくなって、日本語話せるなら初めから話せよ!って言ったらゴメンゴメンって謝ってきた。まだ笑いながら。

けっきょくその子は、他の子供達にも同じ事をして反応を楽しんでいたって訳らしい。
ちなみに今のところオレがダントツで一番面白かったらしい。全然うれしくない。
その子の名前はフレンダ=セイヴェルン。名前も見た目も完全に外国人だけど、日本語はペラペラだ。国際化ってやつなのかな?。

○○年2月××日
遠くで花が歩いていた。ビックリしたけど良く見たら女の子だった。
女の子はゲーム機みたいなのを持っていたけど、他の子供達にとられて泣き出してしまった。
とりあえずオレはパンチする前に、返してあげるように色々と話したけど、話のとちゅうで向こうからパンチしてきた。
相手は二人だったからちょっとキツかったけど、なんとか勝てた。もう一人くらい増えると負けちゃうだろうなぁ。
女の子は何度もお礼を言ってきた。まだ一年生くらいなのにけーごを使っていて、オレも見習わないとなぁって思った。

あとその女の子からはカイロをもらった。「私が使っていたものですいませんが……」って言ってたけど、新品と変わらないくらい暖かかった。
使い始めのやつだったのかな?
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:15:28.81 ID:fGIKZJZr0
4月××日
五年生になった。そろそろ中学校の事も考えなくちゃいけないらしい。
クラスの子の中には、ときわだい中学を受けようとしている子もいる。
無能力者のオレには関係のない話だな?って思ったけど、ながてんなんとかっていう学園都市で一番の学校は、何かすごい一発芸ができればレベルが低くても入学できるらしい。オレの不幸じゃダメかな?

7月××日
今日はオレがいつも通りスチール缶に足をとられて、はでに転びそうになったら、オレのすぐ後ろにベンチがあって転ばずにすんだ。
めずらしくラッキーって思ったら、どうやら近くにいた、年下で一、二年生くらいの女の子がテレポートでベンチを動かしてくれたらしい。テレポーターなんて初めて見た。
お礼を言うと、「お気になさらず」と言って歩いていってしまった。ああいうのがお嬢様ってやつなのかなぁ。

12月××日
アンチスキルが子供を殺してしまったらしい。
その能力者が強くて加減が出来なかったのか、それとも大人のミスなのかは良く分からない。
でも子供を守るためにアンチスキルをやっているのに、その子供を殺してしまったのだから、すごくショックを受けているのだろう。
オレはそんな人に何を言えばいいのか分からない。

○○年3月××日
今日も外でいじめられている子を見つけて、相手のやつらとケンカをしてたら、なんかすごくうるさいやつが割り込んできた。
根性がどうのこうのって言ってたけど、とつぜん念動力みたいなものでいじめっ子達を全員ぶっ飛ばした。
いじめっ子は五人もいたから正直助かったけど、いっしょにオレまでぶっ飛ばされたのは腹がたった。どうやらオレもいじめっ子だと思われていたらしい。

いじめっ子達は完全にのびてたけど、オレはなんとか立ち上がった。そしたらそいつに「なかなか根性あるな」ってほめられた。ぜんぜんうれしくない。
オレはとにかくそいつのとこまでダッシュしたけど、オレが着く前にまたそいつはさっきと同じ様に見えないパンチみたいなのをうちだした。
こっちもヤケクソになってがむしゃらに何もない空間を殴りまくったら、何かに当たってくだいた感触がした。
そしたらさっきみたいな変なしょーげきも飛んでこないし、向こうもビックリして固まってたから、オレはそいつの顔面に思いっきり右ストレートを叩き込んだ。

きれいに決まってそいつは地面に倒れ込んだけど、なんかまだ立ち上がってきそうだったから、いじめられてた子を連れて逃げた。
あんなやつとケンカしてたらこっちがもたねーよ。
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:18:04.46 ID:fGIKZJZr0
4月××日
六年生になった。小学校も今年でおしまい。
中学生になる前にほんのわずかな力でもいいから、何かの能力を使えるようにしたい。
そう思って毎度のことながら、それこそ頭の血管が切れるくらい集中してシステムスキャンをやったけど、結果はいつも通り。
あの変なやつとのケンカではそこには何もないはずなのに、何かを「壊した」ような感じがした。
だからついにオレも何かの能力に目覚めたのだと思ったけど、そんな事もないみたいだ。
でもあれはなんだったんだろう。

6月××日
そういえば変なことがあったらクモ姉ちゃんに言えばいいんだった。すっかり忘れてた。
クモ姉ちゃんはもう卒業しちゃったけど、電話番号を教えてもらってたからかけてみることにした。なんか女の子に電話をかけるのはきんちょーした。

クモ姉ちゃんはあの変なやつのことを知っているらしく、根性根性うるさくて訳の分からない能力を使うやつって言ったら誰だか分かったみたい。オレがぶっ飛ばしたって言ったらすごくおどろいていた。
全部説明したら、やっぱりクモ姉ちゃんは難しい顔で何かを考えていた。
そしてしばらくだまったあと、今度会ってほしい人がいるって言われた。誰だろう?

6月△△日
この前クモ姉ちゃんが言ってた人に会った。クモ姉ちゃんもいっしょだ。
その子はオレと同じくらいの年の女の子で、おとなしそうな感じ。ピンクのジャージを着てた。
変わった能力を持っている子みたいで、オレの力が分かるかもしれないって言われたから、とりあえずオレもおとなしくしてた。
でもその子は特に何もしないでオレの事を見るだけ。正確には手……かな。だけどなぜか少しビックリしたような顔になってた。
その後、その子が色々話していたけど、ほとんど意味が分からなかった。でもAIMって言葉はどこかで聞いたことあるような……うん、忘れた。

クモ姉ちゃんにはちゃんと意味が分かるみたいで、オレでも分かるように教えてくれた。
オレの力は『能力を消す能力』らしい。しかもその力は右手にしかないみたい。
とってもめずらしい能力みたいで、そもそも超能力かも分からないらしい。なんだそりゃ。
でも炎とか電気に比べると地味な能力だなぁ……ふつうに暮らしてたら分からないじゃん。
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:20:05.09 ID:fGIKZJZr0
8月××日
今日はアンチスキルから逃げていた車がこっちに突っ込んできた。不幸だ。
オレの能力は車なんかにはなんの効果もない。正直死んだかもって思った。
そしたら急にどっかから別の車が飛んできて、オレに突っ込んできた車にぶつかった。
それで軌道はオレからそれて、なんとか助かった。
でも飛んできた車は無人だったけど、突っ込んできた車に乗ってた人達は大丈夫だったのかな?

車が飛んできた方向を見ると、フードをすっぽり被った小さな子がいた。周りの人達によるとその子が車を投げ飛ばしたらしく、みんなビックリしてた。
顔は良く見えないけど、たぶん女の子だった。オレがお礼を言おうとしたら「超危なかったですね」とだけ言って、すぐに人混みにまぎれてしまった。
あのフードといい、あまり人に見られたくないのかな? 今度会ったらちゃんとお礼しないと。

オレもこんな地味な能力じゃなくて、あんなのが良かったな?。肉体強化系とかなのかな?

10月××日
オレの力もだんだん分かってきた。
効果があるのは超能力で出てきた炎とか電気とかだけで、それによって飛ばされた石とかにはなんの効果もない。
それと右手以外に当たってもダメ。ホントに不便すぎる。
しかもそれを試すためにクラスのみんなに協力してもらったけど、みんな面白がって何度も能力を飛ばしてくるし。
あ?ないしょにしておけば良かったな?。

システムスキャンはあいかわらず反応ナシ。

12月××日
今日は四月から住む予定の第7学区に行って、学生寮を見てきた。
なんか13学区とは全然別の所だった。道も分かんなくて結構迷った。
それにしても中学にあがったら、初めての一人暮らし。これからはオレがご飯とか作らないといけないのかぁ。
うん、とりあえず困ったらお母さんに聞こう。

ちなみに中学はやっぱりふつうの所に行くことになった。
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 17:21:45.29 ID:fGIKZJZr0
○○年2月××日
今日は雲川先輩に電話で呼び出された。もうそろそろオレも中学生になるんだし、呼び方も変えてみた。先輩は『クモ姉ちゃん』でもいいって言ってたけど。
ちなみに先輩のフルネームは『雲川芹亜(くもかわせりあ)』。知ったのは結構最近だったり。

先輩に連れていかれたのは第7学区の変なビル。どこから入るのかな?って思ったけど、テレポートで入るらしい。
でも案内人っていう人がオレをテレポートさせようとしたけど、失敗した。この右手が原因らしい。ワクワクしてたのにな?。

そしたら中にいた人の方が出てきてくれた。とっても偉い人らしい。でもふしぎな人だった。
大人にも見えるし、子供にも見える。男か女かも良く分からない。そんな人だ。
その人は小さく笑って、「初めまして」って言ったけど、オレは何て言えばいいか分からなかった。
ふつうに考えれば、こっちも初めましてって言って自己紹介でもすればいいんだろうけど、なんか違うような気がした。
その人はオレの事をほんの少しの間じっと見ていた後、話し始めた。オレはなぜかその少しの間がたまらなく嫌だった。

『幻想殺し(イマジンブレイカー)』

オレの能力名。その人が付けてくれたらしい。
オレが考えていた『スーパーウルトラミラクルハンド』とか『シャイニングゴッドヌイトバーストフレア』とかより良さそうだ。

話したことはそれくらいだけど、わざわざそれだけのためにあんな変なビルから出てきてくれたのかな。
その人の名前はアレイスター=クロウリー。外国人さんだった。

3月××日
今日は卒業式。なぜか先生が泣いてた。
オレは初めての学園都市での生活が浮かんできてた。我ながらとことん不幸だったなあ。
でもクラスのみんなは仲良くしてくれたし、すごく楽しかった。オレの居場所はちゃんとあった。
みんな色々な中学に行ってバラバラになっちゃうけど、大体が第7学区の学校に行くみたいだから、また会えるだろう。

最後にクラスの女の子が何か話があるって言ってたけど、その前に他の学校のやつらがオレを狙って殴り込みにきて、うやむやになっちゃった。
なんの話だったのかな?
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:09:40.73 ID:fGIKZJZr0
3月△△日
引っ越し完了! 疲れた?。
腹が減ったけど、勝手に料理が出てこない事を思い出して、近所のコンビニに買いに行った。
自分で何か作ろうかと思ったけど、さすがに疲れてやる気がでなかった……。今度でいいよね?
学園都市の最新鋭洗濯機は説明書を読みまくって、なんとか使い方は覚えた。
中学生でも結構わかるもんだな?。大人でも分からない人がいるみたいだけど、それは機械音痴すぎると思う。

とりあえずこの日記はどこに隠しとくか。

4月××日
今日は中学の入学式。
小学校と比べてレベルの幅が小さくなったような気がする。まぁそういう子はいい学校行ってるだろうからなぁ。
俺の幻想殺しはみんなには言っていない。また面白がって能力飛ばされまくったりするのもやだし。

クラスの人達はみんないい人そうだった。俺は青髪でピアスを付けている変な奴と仲良くなった。
とりあえず俺が青髪ピアスってあだ名を付けたら、クラス中に浸透したらしい。これからアイツは本名で呼ばれる事はないだろう。
でも本人も気に入っているみたいだし、いいよな?

あとビックリしたのは雲川先輩がこの学校にいた事。
すごく頭良いのになんでこんなとこにいるんだろう? 能力開発はあまり良くないのかな?
俺は新しい学校にやっぱり少しは緊張してたけど、先輩と話してたらなんだか落ち着いた。
最後に笑顔でまたヨロシクって言われてちょっとドキッともした。ちょっとだけ。

4月△△日
システムスキャンはいつも通り。
そろそろいい加減、あの機械どもも動いてもいいんじゃないか? なんで俺の時だけニートみたいになるんだ。

それと驚いたことに、クラスの学級委員に青ピが立候補した。
こういうのって誰もやりたがらなくて、結局推薦という名の押し付けあいが始まるもんじゃないのか?
女子の方は、長い黒髪でおでこがちょっと広い子が立候補した。名前はふきよせ……だっけか?
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:11:39.46 ID:fGIKZJZr0
5月××日
中学になったら授業がやたら難しい。
能力開発は全然ダメだから、せめて勉強だけでもって思ったけどこっちもダメそうだ。
でも勉強で困ったら、吹寄のとこにいくのが一番いい。文句は言われまくるけど、なんだかんだ丁寧に教えてくれる。
青ピも勉強できないってわけではないらしいが、いちいち見返りにエロ本やらを要求してくるから却下。
けどこの前青ピに勧められたアニメは面白かったな。なぜか深夜にしかやってねーから録画しなくちゃいけないけど。

あと家の事はだんだん出来るようになってきた。
料理は苦戦したけど、母さんに電話繋ぎっぱなしにして作ったりしたら結構できた。
今では一人でもある程度のものは作れるけど、毎日同じようなものを食べると死ぬほど飽きる事にも気付いた。
もうちょっとレパートリーを増やさないとなぁ。

掃除、洗濯、料理、洗い物……メチャクチャ面倒だけど、母さんが言うには「慣れ」らしい。
まるで花嫁ならぬ花婿修行だ。将来は主夫ってか?

6月××日
今日から夏服にチェンジ! 俺はこっちの方が好きだ。動きやすいし。
そして女子のブラジャーも透けて見える。これはめずらしくラッキーだ。
だけど青ピのやつがそれに興奮して、鼻血を吹き出しながら騒ぎやがったおかげで、俺まで吹寄の頭突きをくらった。

第7学区には不良の集団……スキルアウトだっけか? それが目立つ。
ちょっと裏路地をのぞくと、高確率で誰かが絡まれている。治安悪すぎだろ……。
ジャッジメントとかアンチスキルに通報しても来るのが遅れたりするから、あまりあてにできない。
しょうがないから俺が割ってはいるけど、だいたいは真っ正面からケンカなんかしない。
2人くらいならまだしも、それ以上だとケンカにもならないからだ。俺はマンガに出てくるようなカッコイイヒーローではない。

そういう時、いつも俺は不良を怒らせる言葉を吐いて、そして逃げる。
そうすればバカなサルどもは全員俺に夢中になる。
不良には大人気ですが、女の子にはまったく縁のない上条さんでした……。
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:15:15.16 ID:fGIKZJZr0
7月20日
今日から楽しい楽しい夏休み! 紙一重で補習も回避できた。
さっそく今日はクラスの奴らと一緒に青ピの寮に行った。
少しは想像してたけど、部屋はポスターやらフィギュアやらですごいことになってた。
けど本人からしたらまだ物足りないらしく、将来は寮ではなくてメイド喫茶に住みたいとか言っていた。

そんな部屋でやる事といってもゲームくらいしかなくて、ずっと美少女ばかりが出てくる格ゲーを敗者交代制で延々とやった。
こんな夏真っ盛りに部屋で何やってんだろうな……。

そういえばなんかみんな腹へったという事で、俺が冷蔵庫の中身とキッチンを借りて、てきとーに食えるもん作った。
それが大好評で俺に料理が上手いキャラって属性がつけられ、今度ウチでも作ってくれって言われまくった。
俺はシェフじゃねえっつーの。

8月××日
今日はいつもの奴等と花火を見に行った。男だけじゃむさ苦しいからクラスの女の子も呼ぶことに。
しかもなぜか呼ぶ役は俺。一番適任だかららしい。ただ俺に面倒な事を押し付けたいだけだろ。
思いの外女の子達はノリ気で、声かけた子はみんな来てくれた。そして意外な事に吹寄も。
でも上手くいったのになぜか男どもは俺に敵意を放っていた。なにやら「これだからかみやんは……!!」とか言ってたな。なんなんだアイツら。

さすがに人が多くて、色々屋台も出てたけど歩くのも大変だった。
さらに俺の不幸も重なって、ついにみんなとはぐれてしまった。けど俺だけじゃなくて、近くにいた吹寄も一緒だ。
なんか巻き込んじまったみたいで悪かったから謝ったけど、吹寄は「貴様のせいではない。あとその不幸不幸言うのはやめなさい」って言ってきた。
どうやら大して努力もしないで、何でもかんでも不幸のせいにしているようで聞きたくないようだ。うう、耳が痛い……。
その後吹寄は俺の手を掴むと、人混みを掻き分けながら俺を引っ張って歩き始めた。まるで姉ちゃんのようだ。
正直女の子と手を繋ぐのは落ち着かなかったけど、吹寄の方は特に気にならないみたいだ。
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:17:15.58 ID:fGIKZJZr0
(続き)

するとそんな俺達を見てた不良のお兄さん達が寄ってきた。そして「君カワイイね?。こんな男ほっといて俺達と遊ばない??」と決まり文句。思わず不幸だ……って言いかけたけど、何とか止めた。
とりあえず俺はいつもの作戦を実行しようと吹寄に耳打ちしたけど、即刻却下された。手も離してくれない。
そして吹寄はずいっと俺の前に出て「アンタらと比べれば、このバカの方がまだマシよ!」と不良の皆さんにおっしゃった。なんか俺の方が泣きそうになった……。
案の定それを聞いた不良達は怒り出して「なら無理矢理にでも」と強行手段に。
さすがにこんな状況で女の子の後ろに隠れているなんて出来るわけがなく、俺はちょっと乱暴に吹寄の手をふりほどくと、前に出て拳を握って戦闘体制に。
相手は7人くらい。俺の武器は無能力者には何の効果もない『幻想殺し』。
あぁ、せっかくのお祭りなのにこれからボッコボコにされるのか……と心の中で泣いていると、そこに一人の女の人が「何をしている」と現れた。

長身で眼鏡をかけた、お祭りではちょっと浮いているしっかりとしたスーツを着用。年は20代半ばくらい?
一瞬、不良の獲物が増えて状況悪化ですかー!?なんて思ったけど、そんな事を考えている間に不良達はやられていた。
俺と吹寄がビックリして呆然としていると、その人は笑顔で「大丈夫か?」と聞いてきた。
どうやらその人は常盤台の寮監さんらしく、花火の日くらい門限破りを黙認しているらしいが、やっぱり心配なので変な奴等に絡まれないかこっそり見張っているらしい。
だからここでの事はあまり話さないでほしいとの事。なんだかすっげーいい人だ。
寮監さんはそれだけ言うとどこかに立ち去ろうとしたけど、お礼を言ってない事に気付いた吹寄が慌ててその背中に向かって大声でお礼をすると、ただ手を上げて反応してそのまま人混みに紛れてしまった。

やっとの事でみんなと合流すると、男どもに吹寄と手を繋いでいる事にギャーギャー言われた。
なにやら「対カミジョー属性の女が……」とかなんとか言ってたな。
女の子達の方も抜け駆けがどうのこうのって言ってたけど、吹寄は平然として何かを言っていた。

花火はすっげーキレイだった。青ピは花火に向かって「メイドの国に行かせてやー!!」とか言ってた。それにつられて他の男どもも各々の欲望をぶちまけていた。流れ星かよ。
そんなこんなで結局雰囲気も何もあったもんじゃなく、女の子達も呆れていた。そして吹寄がこっちに歩いてきて、あぁまた俺はとばっちりで頭突きを食らうのか……と身構えた。
けど意外な事に吹寄はまた俺の手を掴むと、みんなからは少し離れた所に俺を連れていった。
まさかみんなには見せられないような制裁を加えるんじゃないかと思ってビクビクしてたけど、吹寄はただ一言「さっきはありがと」って言っただけだった。
一瞬何の事か分からなかったけど、どうやらあの不良の一件の事らしい。吹寄からお礼を言われるのは初めてで、本人も渋々にといった感じだった。
なんだか顔は少し赤いし、いつもの吹寄じゃないみたいで落ち着かなかったけど、俺がああいうのはいつもの事だしなって言ったら、急に怒り始めていつも通りになった。
たしか「そういう事をいろんな子にするから……!」とかって言ってたな。まぁでもいつもの吹寄に戻ってくれてよかった。
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:20:38.15 ID:fGIKZJZr0
9月1日
今日から新学期。ホント毎年毎年夏休みは一瞬で終わるなぁ。
宿題はちゃんとやった。さすがの上条さんも夏休みの宿題が終わらなかったなんていうマヌケな事はしませんよ。

学校での話題はもっぱら夏休みの事。中にはこの夏にカノジョができたって奴もいた。あんのリア充め。
まぁそいつは青ピ達に制裁受けて、結局俺がなだめるはめに。しかもそれで何故か俺まで「さすがかみやんは余裕やなあああ!!」とか言われた。どういう意味だよ。

あとはそろそろ大覇星祭って事でその話もいろいろ出てたな。
なにやら小学校ではどっちかっていうとお遊戯って感じだったけど、中学からは学校の威厳をかけたそれなりにガチの競争になるっぽい。
実行委員には吹寄がなるつもりらしく、やるからにはあの「五本指」にも勝つつもりでいくらしい。
クラスの奴等もヤル気満々だし、俺もなんか燃えてきたな。この相棒(みぎて)の出番だ!

……右手が相棒って言うとエロく聞こえるのは俺だけなのか?

9月19日
大覇星祭開幕! うちの学校はあまりレベルは高くないけど、頑張ってる方だと思う。
やっぱり小学校同士の競技とは違って、能力が四方八方から大量に飛んでくる。運動会っていうより戦争に近いな。
さすがに俺も右手の力を隠すわけにもいかなくて思う存分使いまくった。
だけど、どうやら周りのみんなは俺の右手が能力を消す所を見ても「相手が演算を間違えたんだな」と思って気づかなかったようだ。良かった良かった。

あと初日にいきなり長点上機vs常盤台の「五本指対決」があったけど、あれはヤバイ。
ホントに能力なのかって思うくらいのデタラメな力ばかりだった。この右手があっても、あんな力とやりあうのはマジで勘弁だ。
そしてさっそく明日には常盤台との「玉入れ合戦」がある。
でもクラスの奴等は既に戦意喪失してたな。始まる前はまずは敵を視察するとかいって勝つ気満々だったのに。
まぁあんなもん見ちまったらしょうがないか。吹寄まで黙り込んじまったしな。
けど青ピのやつは逆にハァハァしてやがった。変態ドMっぷりもここまでくるとすげーと思った。

夜のナイトパレードはやっぱり何度見てもすっげーキレイだった。
ホントはクラスの女の子何人かに一緒に行こうって誘われて、ついに上条さんにも春がきたあああ!なんて思ったけど、青ピ達がものすごい目でこっちを睨んでいやがったから仕方なくそいつらと行く事にした。
でもこんなんじゃ俺一生女の子と縁がないんじゃ……。
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:22:51.86 ID:fGIKZJZr0
9月20日
案の定常盤台には見事に叩き潰された。
けど何だかんだ向こうのお嬢様達はこっちがケガしないようには配慮していた。
確か『空気風船(エアバッグ)』って言ったっけか。俺らのためにそんな能力を使って緩衝材を作り出していたらしい。

らしいっていうのは、どうやら俺の右手でそういう能力も消しちまってたらしく、俺だけお嬢様の優しさ能力を受けることが出来なかったからだ。
その結果、クラスで俺だけ派手にケガするはめになった。不幸だ。

9月21日
大覇星祭三日目。うちのクラスは出だしこそはなかなか良かったけど、だんだんと失速し始めてきた。こういう所で地力ってものが分かっちまうのかな。
そんなクラスを建て直すためか、吹寄が夜のフォークダンスにみんなで参加しようと提案した。
男女ペアでやるものだったから、男どもは大喜びだった。
でも何故か俺とペアになった女子はみんなどこか上の空って感じで、足を踏まれまくった。これは新手のイジメですか……。
しかも吹寄にいたっては俺のステップがなってないとかいう事でガミガミ叱られた。

……近くで踊っていたカップルがメチャクチャうらやましかった。

9月25日
大覇星祭が終わった。結果はなんとも微妙な順位だった。
けどウチの学校のレベル的には頑張った方なのか? やっぱりレベルの高いとことは中盤以降で自力の差がでた。
その後はみんなで焼き肉を食べにいった。もちろん先生の奢りで。
みんな疲れてるはずなのに、やたらハイテンションで騒いでた。店の人も慣れてるみたいで、一緒になって笑ってたな。
俺の隣は何故か吹寄がいて、肉の焼き方とかを細かく教えられた……。本当に何をやるのにも全力で、すこしは見習わないとな。
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:24:11.64 ID:fGIKZJZr0
10月××日
大覇星祭が終わって一息つく間もなく、今度は一端覧祭の準備だ。
実行委員はもちろん吹寄。
クラスの出し物については、いろんな意見があったけど、結局駄菓子屋になった。
学校側からすれば、能力を存分に使って宣伝してほしいみたいだけど、俺らのクラスじゃ飾り付けをちょっと光学操作系能力者に協力してもらうくらいだ。
それこそ能力使いまくりのハデなアトラクションっていうのは有名校の特権だろう。
だから他の学校をまわってみる時も、レベルの高いところは結構人気らしいんだよなあ。
まぁ興味はあるけど、俺みたいなのが行っても冷やかしにしかならないから止めとくか。

あと青ピはというと、大胆にもメイド喫茶を提案して、女子全員にフルボッコにされてた。
本人は嬉しそうだったし、いいのか?

11月××日
一端覧祭はすっげー楽しかった。
やっぱ第七学区にもなると、人も凄かったけど。
この機会に色んな能力も見れたけど、やっぱ目に見える能力っていいよなー。
俺の幻想殺しなんて、誰かが能力使ってくれないとまったく分かんないからなぁ。
しかも能力系のアトラクションは俺の右手のせいでまったく楽しめなかった。ふこーだー。
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:25:50.39 ID:fGIKZJZr0
12月24日
気付けば二学期も終わってクリスマス。あっという間だったな。
そして今日は何故か俺の部屋でパーティーをやる事に。
最初は男だけのむさ苦しいもんだったけど、青ピ達がふざけて女子も呼んだら普通に来た。ビックリした。
俺の狭い部屋だと結構ギュウギュウだ。あと吹寄には俺の二学期の成績についてガミガミ怒られた……。

そんで最悪だったのが、青ピ達がジュースに酒を仕込んだこと。
まったく、学園都市じゃ時に子供はなかなか手に入れられないのに、どうやって仕入れたんだか。
一番ダメージを受けたのは吹寄。こういうマジメキャラは酒に弱いってのは本当みたいだ。
困ったのは、他の奴等はもうみんな帰ったのに、吹寄だけが家でゴロゴロしていること。完全に酔っぱらってる。
終いには「泊まってくー!」とか言い始めるし。てかもうこんな時間じゃねえか……。
あ、やべ  俺もねむ  く

12月25日
……朝起きたら吹寄が朝食を作ってくれてた。
どうやら俺より先に起きて、シャワーを浴びたらしく、サッパリとした感じだった。
まぁウチにはあの洗濯機とかあるし、服も即乾燥できるからそこらへんは問題なかったろうけど……。
冷静に考えたら、女の子が男の部屋に泊まってシャワーとかも浴びるってヤバくないか?
そう思った俺は吹寄に言ってみるが、あいつは特に気にしていないようだった。それに寮の管理人もそこまで厳しい人ではないらしい。
ただ、酔ってたとはいえ、勝手に泊まって悪かったみたいな事は言ってたけど。
まぁ本人が気にしてないんならいいけど、それはそれで完全に男として見られていないようで、どこか悲しいんですが……。

そんで、それからは冬休みの課題を一緒にやったりしてのんびりすごした。
一応クリスマスなのに俺の家で勉強なんてお前も寂しい奴だなって言ったら頭突きをくらった。
あと、とりあえずウチの寮の管理人にはバレてないようで助かった。女の子が遊びに来るだけなら大目に見てくれるけど、泊めたとなれば大問題だし。
まぁ、女の子を泊めるなんていうビッグイベントなんざ、もう二度と起こらないだろうから、もう気にすることもないだろう。

そういえば日記を書いてる事が吹寄にバレた。思いっきり広げたままで爆睡してればそうなるか。
でもその時開いてたページは読んだけど、それ以上中身は見てないって言ってた。吹寄の事だし本当だろう。
ただ俺が日記をつけてることにはかなり驚いていた。そんなに意外だったのか?
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:27:53.45 ID:fGIKZJZr0
○○年1月1日
今年は実家の方で年を越した。父さんも母さんも元気みたいで安心した。
ただなんか、家に魔除けのお守り……というかオカルト的なものが増えた気がする。
けど聞いてもはぐらかされるし、本当に何なんだろう。まさか父さん、そっちに目覚めちゃったとかか?
あと俺がまだ日記をつけてる事を話したら、父さんはメチャクチャ驚いていた。自分から言ったくせに……。
母さんのお節はいつも通り絶品だった。料理も少し教えてもらった。

2月××日
今日は俺の誕生日。
ただし、誕生日であっても、バスには素通りされるわ、スキルアウトには追いかけられるわでいつも通りだった。
青ピから貰ったのはエロゲ数本。わざわざ教室で大声出しながら渡す辺り悪意を感じる。
そして吹寄からもらったのは分厚い参考書。AIMがどうたらこうたらって書いてあった。
吹寄は、これからの時代はAIM拡散力場よ! とか言ってたけど、とりあえずこの本は本棚という名の棺桶に封印されるだろう。

2月14日
今日はバレンタインって事でクラスの女の子にチョコを貰った。
まぁいつも不幸な上条さんを哀れんでって事だろうけど、すっげー嬉しかった。
でも最近は義理チョコでも手作りだったりするらしい。てっきり本命だけかと思ってた。
吹寄からのチョコは何か仕込まれてないか、内心ビクビクしてたけど、食ってみたらすげー旨かった。
確かどこの言葉か分からないけど、何か書いてあったな。もう食っちゃったからあんまり覚えてないけど、「liebe」ってのが見えたような……。
呪いの言葉じゃないだろうな。
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:29:17.91 ID:fGIKZJZr0
3月××日
気付けば一年生も終わり。やっぱりあっという間だ。
とりあえず吹寄の助けもあって、ちゃんと二年には上がれるらしい。
てかこの時点でつまずいてて、高校とか大丈夫なんだろうな……。しっかりしねえと。
あと久々に雲川先輩とも会った。中学はどうとか色々聞かれた。なんか姉ちゃんみたいだ。
ただマズかったのはそこを青ピ達に見られた事。そんで美人な先輩と仲良さそうに話していたという事でさんざん追い回された。
それと何故か吹寄も不機嫌になってたな……。

4月××日
新学期、中学二年生になった。
といっても、実は自分が選ばれし勇者だったとか、急に謎の組織に追われ始めるとかみたいな厨二展開は何も起きない。
まぁ俺としても平和が一番だし。なんか爺くさいか?
システムスキャンは相変わらずの結果。

6月××日
今日は十三学区の「あすなろ園」ってとこにボランティアにいった。
理由は俺の成績の悪さ。なんとか夏休みの補習を避けるためだ。
でもやっぱり子供の笑顔はいいもんだ。あのスキルアウトどものニターっていう笑顔と比べれば天と地の差だな。
……いやこれは決して不純な気持ちではなく、青ピみたいなロリコンという事にはならない! ……はず。

帰りに、雨の中転んでしまったカチューシャをつけた女の子がいたから、声をかけようとした。
だけどその前にその子の先生らしい人が来て、一緒にどこかへ行ってしまった。
その子の顔は嬉しそうで、あの先生もいい人なんだろうなぁ。
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:30:44.81 ID:fGIKZJZr0
10月××日
今日、なんか茶髪の小学生の女の子がスキルアウトにからまれて、どこかに連れていかれたという話を聞いて助けることに。
ここ第七学区じゃ小学生は珍しいけど、たぶん来年中学に上がるとかで寮でも見に来たんだろう。
ていうかその見てた奴等も助けてやれよって思ったけど、良く考えたらそっちの方が賢い生き方なんだろうな。俺がバカなだけか。
ただ、俺はマンガのヒーローみたいに素晴らしい人間じゃない。
こうやって誰かを助けにいくのだって、実を言うとその人の為というよりは、ここで見捨てたら目覚めが悪くなるからで、つまりは自分の為だ。
だから俺もただ見てただけのアイツらと同じ「自分が一番可愛い人間」。自分が嫌な思いをしない為に「とりあえず何かはやった」というのが欲しいだけ。これが偽善ってやつなのかな。

目撃者をどんどん辿っていって、着いたのはいかにも人気のない路地裏。
急いで入ってみると、そこには酷い光景が広がっていた。
ただしそれは女の子が乱暴されているという訳ではない。
まっさきに目に入ったのはピクピク痙攣しながら倒れている不良の奴等。ざっと七人はいた。
そして黒こげの壁に地面。最初は発火能力者かとも思ったけど、不良のケータイの壊れかたを見る限り、たぶん電撃使い(エレクトロマスター)だ。
とりあえずその後は、仕方ないから自分のケータイで救急車を呼ぶと、その場を離れた。

あの状況からして、レベル3か4の能力者だったんだろうな、こえー小学生もいたもんだ。
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:32:37.77 ID:fGIKZJZr0
○○年2月××日
今日は路地裏でからまれている女の子発見。ホントどうなってんだここの治安は。
とりあえずいつも通り、助けに入ってみたけど、相手は二人だけだったから逃げずに頑張ってみた。もちろん女の子は先に逃がしたけど。
ケンカは、ちょいキツかったけど何とか勝った。最近ちょっとケンカ慣れしてきたかもなぁ。嬉しくないけど。

ただ問題はこの後。
そいつらを倒してほっとしてたら、奥の暗がりからメチャクチャでけえ大男がのっしのっしと歩いてきた。
即座にこんなバケモン倒せるわけないと判断した俺は、すぐに逃げようとしたけど、なんとそいつはいきなり謝ってきた。
どうやらそいつはスキルアウトのリーダーで、弱者からの強奪は禁止しているらしい。珍しい奴もいたもんだ。

まぁでもそれなら良かったと、珍しいラッキーに満足しながら立ち去ろうとしたらいきなり肩を掴まれた。
「……しかし仲間がこうもやられているのを見過ごす訳にもいかない」との事。
結局ボコボコですか……と、カミサマの上げて落とす戦法を恨んでいると、いきなりそいつは意外な事を言った。
「……ウチに入らないか」と。その目は勧誘というより、脅しといった感じでヤバイ感じだった。
だけど俺は思いっきり断った。誰がてめえらの仲間になんかなるかって。自分にウソをつくのは一番嫌いだから。

肩を掴まれて逃げる事も出来ないから、俺は拳を握ってやりあおうとした。勝てる気はしなかったけど。
けどそいつは小さく笑い、肩から手を離したと思ったら、のびてる二人を担いでまた暗がりに戻っていってしまった。
なんだったんだあれは。
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:34:35.27 ID:fGIKZJZr0
4月××日
無事三年生になれた。中学も今年で終わり。
という事で進路の話も聞かされた。とりあえず高校には進学するつもりだ。
かの有名な常盤台中学では、「義務教育終了までに世界に通じる人材を育成する」というのが方針っぽくて進学しない子も多いらしい。
けど俺はまだ二桁の足し算も平気で間違える世間知らずのバカ中学生だ。こんな状態で社会に出ても、ろくな事にならないだろう。
まだ凄い能力とかがあれば分からないけど、俺はレベル0。右手の力だって一発芸程度にしか使えないだろう。
高校入るために勉強しねえとなあ。

5月××日
やっぱみんな受験モードってやつになっていて少しピリピリしてる。
休み時間は参考書とにらめっこしている奴も増えた。
そんな中変わらないのは青ピや吹寄。
青ピはいつも通りの変態っぷりで、緊張のきの字も見えない。
吹寄の方もいつも通り……というかこっちは普段からこういう奴だったかな。
けど吹寄は自分もそれなりに大変なはずなのに、まだ俺の勉強の面倒をみてくれる。
さすがに今年までみてもらうのは悪いからいいって言ったけど、「貴様の様な問題児を放っておけるわけないでしょ!!」と怒られた。

6月××日
学園都市の受験。外と違うところは超能力も関係することだ。
中にはレベル○以上なんていう受験資格を設けている学校もあって、それだけ能力開発は学校にとって大きいものらしい。
まぁ学園都市の目玉って言えばそれだし、当然の事なんだけどさ。

だけどレベル0にも希望はある。
凄い有名校の中にもレベル不問という所も確かにあるからだ。
ただしそういう学校では大抵、能力の代わりになるような凄い一芸を求められる。
俺の幻想殺しならひょっとしたらと思ったけど、これをあんまり人に見せびらかすつもりにはなれない。
雲川先輩にも相談したけど、止めた方がいいって言われた。
そういえばあの人ってどこの高校に行ったんだろ? この前電話で聞いてみたけど、はぐらかされちゃったんだよな。
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 18:36:32.62 ID:fGIKZJZr0
7月××日
相変わらずシステムスキャンの結果はレベル0。もうこればっかりは仕方ない。
とにかく勉強だけでもと頑張ってるけど、やっぱり今まで一年、二年とサボってた代償は大きく、やることがメチャクチャ多い。
もし吹寄がいなかったら完全に終わってただろうな。本当にいくら感謝してもしきれない。

そういえば吹寄によると、常盤台で新たにレベル5認定を受けた奴が出たらしい。しかも序列は第三位。
つまりそれって学園都市全体で上から三番目の生徒って事だよな? すげえ世界があったもんだ。
けどそれを話してた吹寄の顔がどこか元気なさそうに見えた気がした。

しっかし、レベル3とか4でも俺みたいなレベル0から見れば、十分デタラメでありえない力だ。
今までレベル5っていうのは見たことないけど、それはもはや想像を超えるような存在なんだろう。
出来れば一生関わりたくないけど、俺の不幸に引き寄せられて……というのがありそうで怖い。
いやいや、いくら俺が不幸だからって、そんな数える程しかいないレベル5とトラブルなんてある訳……ないよな?
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 19:00:21.32 ID:fGIKZJZr0
ごめん、サルくらってた

8月××日
今日は勉強の息抜きに吹寄と二人でプールに行った。
しかも誘ってきたのは吹寄の方だった。なにやら無料の券が当たったとやらで。
すげえビックリしたけど、なんか最近吹寄の様子がおかしい気もしたから、ありがたく行かせてもらうことにした。

プールでは吹寄も笑ってたけど、どこかぎこちなかったから思いきって聞いてみた。
吹寄は最初は何ともないって強がってたけど、最後にはちゃんと話してくれた。
どうやら能力開発の事でずっと悩んでいたらしい。
吹寄はウチのクラスでも一番の優等生で、成績も良い。
ただしそれはあくまで勉強での事。能力開発は他の人とあまり変わらないみたいだ。
受験でもレベルを重視する学校は多い。そういう所は基準を満たしていなければ受けることも出来ない。

俺はなんて言えば良いのか迷った。俺もレベル0だし、吹寄の気持ちは分かる。
いや吹寄は俺と違う。超能力さえある程度あれば、有名校だって狙える学力はある。
だけど俺はとにかく思ったことを言う事にした。バカな俺じゃ一発で吹寄を元気付けられる言葉なんて分からないからだ。
吹寄は能力なんかなくても十分凄い奴だし、そんないつも頑張っている吹寄なら絶対凄い能力にも目覚めるはず……俺はそんな事を言ったと思う。

そんな俺の言葉を聞いて、初めは吹寄は少し驚いていた感じだったけど、最後には笑ってくれた。
いやたぶん俺の言葉というよりは、焦ってる俺の様子を見て笑ったんだろう。
でもその笑顔は本物だった。そんな気がした。
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 19:02:34.94 ID:fGIKZJZr0
9月××日
二学期が始まった。
これまで以上にピリピリした雰囲気になるかと思いきや、意外とそうでもなかった。
理由はたぶん大覇星祭や一端覧祭。
確かに今年は受験だけど、同時に中学最後の年でもあるから、こういうイベントは思いっきり楽しむつもりなんだろう。
なんかそう考えると、こうやって実行委員の吹寄がどんどんみんなを引っ張っていって、バカやってる青ピ達が頭突きを食らう、そんな光景も今年で最後なんだなとちょっと寂しくもなった。

10月××日
最近、大分冷えてきた。
衣替えも終わって今は学ランだけど、それでも少し肌寒い。
改めてみると、この学ランも度重なるケンカでボロボロだ。
でも人間っていうものはこういうのに愛着がわくもんで、たぶん卒業してもこの学ランは捨てないだろうな。
57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 19:05:54.36 ID:fGIKZJZr0
11月××日
今日は参考書を買いに行った帰りに、銀行強盗の現場らしきものに居合わせた。
その銀行はシャッターが閉じてて中の様子は分からなかったけど、その前で花飾りをつけた女の子が泣いていた。
どうやら中でジャッジメントがやられているらしい。
なんでその子は外に出れたのか気になったけど、とにかく中に入らないとどうしようもないから、俺は何かシャッターを壊せるようなものはないか探しまくった。

そんな時、急に内側からシャッターが破られた。たぶん犯人の能力かなんかだろう。
当然俺はチャンスだと思って急いでそこから中に入ろうとした。
だけど次の瞬間、バカでかい音と共に何か光線みたいのが俺の近くを通って、破れたシャッターから中に入っていった。
その後はいろいろゴタゴタあったけど、結局中にいたジャッジメントが犯人全員を捕らえてしまったらしい。

なんとか解決して良かったけど、あの光線はなんだったんだろうな。

12月××日
最近なんか変なウワサが聞こえてくる。
例えば、どこかの地下研究所で大量の人間のクローンが産み出されていて、秘密の軍隊を作っているとか。
他にも前人未到の領域、『絶対能力(レベル6)』とやらも。
まぁなんで急にこんな話が出てきたのかは気になるけど、今はそんな事考えてる場合じゃないよな。勉強勉強っと。
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 19:08:18.51 ID:fGIKZJZr0
○○年1月××日
最近能力者による無能力者狩りってのが流行っている。
スキルアウトなんてのは無能力者の中のほんの一部なのに、俺らまでそいつらと一緒にされてるらしい。
中には楽しむためだけに参加している奴も。そいつらはスキルアウトとなんも変わらねえと思う。

今日は派手なカーチェイスがあった。
どうやらスキルアウトの奴等がATMを盗み出したらしい。まったく、少しは自重しろっての。
けどそういう奴等にとっては、スキルアウトみてえな集団でも大切な居場所だって聞いたこともある。
別にそうやって仲間と騒ぐのは良いけど、悪さはダメだろ悪さは。

2月××日
今日は志望校の受験日だった。
そこまでレベルの高いところではなかったけど、それでも俺だと危ないからすっげー緊張した。
それと青ピもここが第一志望らしい。
理由を聞いたら魅力的過ぎる先生がいるから、とのこと。これで俺が落ちてこいつが受かったら一発くらいぶん殴っちゃダメかな?

2月△△日
今日は合格発表があって、無事合格だった。良かった良かった。
ついでに青ピも合格。この腐れ縁はまだまだ続きそうだ。
そんで意外だったのは吹寄。なんと体調を崩して試験を失敗してしまったらしい。
仕方ないから後期募集で俺と同じ学校に入ることになったみたいだ。

俺はなんて声をかければいいか分からなくて困ってたけど、意外と吹寄の方はいつも通りだった。
体調管理が出来ていなかったのは自分の責任だし、過ぎたことよりも高校でどうするかを考えたいとの事。さすが吹寄だ。
あと他にも理由があるらしく、何かを言いかけたけど止めたようだった。
どこか顔が赤かった気がするから、やっぱりまだ体調は万全じゃないみたいだ。

そういえばこの前親父から電話があったけど、性懲りもなく魔除けグッズを買い漁っているらしい。
なんでもリドヴィアとバルビナっていう宗教関係の人に選ぶのを手伝ってもらったらしく、効果は期待できるとの事。
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 19:10:47.31 ID:fGIKZJZr0
3月15日
今日は新しい寮の下見に行ってきた。思ってたよりいいとこだった。
まだ隣の部屋の人には会わなかったけど、やっぱそういう付き合いは大切だと思うし、早めに仲良くなっておきたいなー。

そんでその帰り道、いきなり路地裏からデカイ音が聞こえてきたから覗いてみると、変な太陽のシャツに学ランを羽織った、やたらウルサイ奴がいた。
どうやらスキルアウトにからまれている人を助けたみたいだったから悪い奴ではないと思うけど、なんとなく関わると面倒くさそうだったから気付かれない内に立ち去った。
でもどっかで見た事あるような……気のせいかな。

3月××日
ついに卒業式。
小学校の半分しかなかったのに、小学校の時と同じくらい感慨深かった。
といっても吹寄とか青ピは高校同じなんだけども。
あと吹寄は受験失敗以来、健康系の食いもんや器具をやたら手に入れるようになった。
間違えてインチキものに手を出さなきゃいいけど。

クラスの打ち上げの帰り道、からまれている女の子発見。相手は二人。
とりあえずいつもの偽善精神で女の子を逃がすと、なんとかやれそうだったから、不良どもはケンカして倒した。
けどその後がいつもと違った。なんと逃がした女の子が戻ってきた。
どうやらアンチスキルを呼んだ後、心配だったから来てしまったらしい。
俺は、危ないから戻ってきちゃダメだと言ったけど、その子はあまり納得していないようだった。

その子は黒髪ロングで、花のヘアピンをつけていた。年は小学生と中学生の間くらい……今年入学かな?
とにかく明るく元気な感じだったけど、不思議な子だった。
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 19:12:28.20 ID:fGIKZJZr0
4月××日
今日は高校の入学式。だけどいきなりトラブル発生。
なんと校舎に、ピンクの髪をした小学生の女の子がいた。
俺は迷子だと思って、なにやら暴れ始めるその子を押さえながら職員室に連れていった。
そこで発覚した驚愕の事実。どうやらその女の子は俺の担任「月詠小萌」先生らしい。
そして俺の扱いにショックを受けたのか、その「先生」はズーンという音が聞こえてきそうな程落ち込んでいた。
とにかく謝りまくって機嫌を直してもらったけど、悪いことしたなぁ。

教室でのクラスメイトの反応も俺と似たり寄ったりで、ビックリしすぎて動けない奴や、その先生の子供が紛れ込んできたと思ってる奴もいた。
吹寄なんかは俺と同じく迷子だと思って、職員室に連れて行こうとし始めたから、慌てて止めた。
青ピは悶えまくっててウザかったから沈めた。

HRも終わって、さー帰るかーっていう時に、小萌先生が別のクラスの新入生らしい生徒二人にからかわれているのを発見。
軽く笑って通り過ぎようとしたけど、なにやら先生は本気で嫌がってるみたいだったから作戦変更。
一応最初は笑顔でやんわり注意した。なにせいつものスキルアウトではなく同じ学校の生徒だし、穏便に済ませたかった。
でもその注意は完全無視。ちょっとプチンといきそうだったけど、俺ももう高校生、その素晴らしい大人っぷりでなおも話し合いで解決しようとした。
だけどその時、俺は見過ごせないものを発見。それは小萌先生の目の端に光るもの。

結果としてはボコボコになった二人が足元に転がっていた。
ケンカばっかのスキルアウトならともかく、こういう奴等なら問題なく倒せるっぽい。
でもその後は最悪だった。それなりの騒ぎだったらしく、先生達も集まってくるわ、小萌先生まで怒り始めるわ。
校長室にまで呼ばれて、入学早々いきなり停学の危機だったけど、それは小萌先生のお陰でなんとか回避できた。
そんで校長室から戻った後も、職員室で小萌先生にはガミガミ怒られた。
だけど気のせいか、先生の顔はどこか嬉しそうな感じだった。それ言ったらさらに怒られそうだったから黙ってたけど。
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 19:13:54.27 ID:fGIKZJZr0
5月××日
高校も最初の一ヶ月がすぎて、だいぶ慣れてきた。
勉強はもちろん難しい、正直ついていけてもない。その代わり、クラスの奴等とは大分仲良くなった。
特に土御門元春っていう金髪グラサンとはかなりウマが合うみたいで、いっつも絡んでる。コイツが隣人だと分かったときは驚いた。
そしていつの間にか、俺と青ピと土御門でクラスの三バカ(デルタフォース)とかって呼ばれるようになった。たぶん名付け主は吹寄だ。
そういえば青ピは今は寮ではなく、パン屋に居候しているらしい。理由はそこの制服がメイド服に似ているからだとか。

驚いたのは、またもや雲川先輩と同じ学校だった事だ。
冗談で、もしかして俺を追いかけてたり? って言ってみたら笑顔で「そうだけど?」って言われて思わずドキッとした。あの人には敵いそうにもないな。

あと新しい日記の隠し場所も作った。あそこなら見つけられないだろう。
それと本用の鍵も買った。ベルトみたいのでグルグル巻きにして、鍵をかけて開けなくするものだ。
正直そこまでしなくてもいいかなって思ったけど、やっぱり日記は誰にも見られたくないしなぁ。

6月××日
今日は夜とはいえ、堂々と女の子に絡む不良どもを発見。
もしかしたらそこまで荒っぽい奴等ではない可能性にかけて、とりあえず「知り合いのふりをして連れ出す作戦」をやってみた。
結果としてそれは失敗した。
なぜならその女の子が電撃で不良を全員倒してしまったからだ。しかも俺ごと狙って。
電撃自体はなんとか右手で防いだけど、それがその女の子にとっては気にくわなかったらしい。なんか明らかにイライラしていた。
とりあえずこれ以上面倒な事にならないように逃げたけど、なんなんだアイツは?
一応常盤台の制服着てたし、高レベルの電撃使いなんだろうけど、なんで俺が攻撃されたんだろう?
うーん、女の子ってのは分かんねえなぁ。

6月△△日
またいつものビリビリ女に追いかけられた……。ここの所会ったらそのパターンだ。
マジで俺が何したって言うんですか……。
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 19:16:25.44 ID:fGIKZJZr0
7月1日
レベル5の一人がロシアに能力実演に行ったらしい。
クラスの中にはそのレベル5のファンってのもいて、写真を見せてもらった。
…………例のビリビリ女だった。名前は御坂美琴。序列は第三位の『超電磁砲(レールガン)』
つまり俺はレベル5に目をつけられて追いかけ回されてたって事か? ここまで来ると本気で泣けてくる。

あと、どうやら他のレベル5は性格が破綻しすぎてるらしく、能力実演には彼女が選ばれたらしい。
あれが一番マシって……どうなってんだよレベル5ってのは。

7月××日
なにやら親父が厄介ごとに巻き込まれて、危うく死ぬところだったらしい。俺の体質が移っちったのかなぁ。
原因は『原石』の少女らしいけど、まったく意味が分からない。なんか凄い素質を持った子っていう事か?
それも飲んでる先で絡んできたあの御坂という男が何か知ってそうだったとの事。
御坂……? いやいやまさかな。

7月△△日
レベルアッパーっていう能力強度をすぐに引き伸ばしてくれるモノがあるらしい。
くっだらねー。そんなモンあったら苦労しねえっつーの。
ていうかいくら凄い力になっても、システムスキャンで計測できなきゃ意味ないんだよなぁ。

そういう事を考えながら歩いてたら、いきなりスプリンクラーが作動して、俺だけびしょ濡れになった。
誰かのイタズラって訳じゃなく、純粋な誤作動。不幸だ。
そんな俺を見て笑ってたのは雲川先輩。あの人はいつも楽しそうだなぁ。
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 19:18:42.29 ID:fGIKZJZr0
7月16日
また銀行強盗だ。
なにやら犯人の中にレベル3のヤツがいたらしいけど、ジャッジメントに捕まったらしい。
ていうかそういうのはアンチスキルの管轄なんじゃねーの? 詳しく知らないけどさ。
学校の帰りに現場を通ったけど、道路はえぐれてるわ、車はひっくり返ってるわで酷い状況だった。
あの荒れようはレベル3にはたぶん無理だから、ジャッジメントの方がやったものだろう。
レベル4……いや、もしかしたら……。

7月17日
朝に日記を書くのは初めてだ。つまり今は18日。それもこれも昨日のビリビリ女のせい。
昨日は夕方までは比較的平和な生活だった。だけどコンビニのATMにカードを飲み込まれてからどこかおかしくなった。
まぁカードを飲み込まれるのは結構あることだけど、そこでビリビリに遭遇。
でもなんとビリビリの電撃でカードは戻ってきた。初めてビリビリに会って良かったと思ったぜー! なんて油断してたら……。
ATMが何やら騒ぎだした。アレだ、防犯用のブザーってやつだ。
仕方ないから猛ダッシュ。これってあのスキルアウト達と同レベルなんじゃねえのとかって思ったけど、考えないようにした。

そっからなんだかんだあって、河川敷で勝負することに。どうしてこうなった……って感じだったけど、それで終わりにしてくれるならと思ってやってみた。
ビリビリは電撃以外にも砂鉄を集めて攻撃できるっぽい。便利な能力だな。
けど俺の幻想殺しはそうやって集めた砂鉄にも有効らしく、無力化できた。
そしたらアイツは直接電流を流そうとしたらしく、俺の手を取って攻撃しようとした。でも掴んだのは右手。
アイツも運ねーよなぁ。左手だったら勝ってたのにさ。

とにかくそれで能力を封じられた上に、俺に捕まったという事でアイツは大ピンチ。
てか俺もその後どうすればいいのか分かんなかった。殴るふりをしてみたら、アイツ怯えてプルプルしてるし……かといって本当に殴るわけにもいかねーし……。
しょうがないから、やられたふりをしてみたけど、それにアイツは大激怒。そのまま朝まで追っかけ回された。
仮にもお嬢様が何やってんだか……。こりゃ学校では爆睡だな。
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 19:21:52.30 ID:fGIKZJZr0
7月18日
今日もビリビリに遭遇した。なんなんですか、このエンカウント率は。
場所はセブンスミスト。小さい女の子が洋服売り場を探してたから、連れていってあげたらそこでバッタリ。
なんかすげー必死にパジャマを合わせてたけど、何だったんだあれは。

問題はその後。案の定ビリビリが噛みついてきたから、とりあえず女の子の事は入り口辺りで待ってあげることにした。
そしたら急にジャッジメントから避難勧告が。店のどこかに爆弾が仕掛けられていたらしい。
でも入り口で見張っててもあの子が出てこない。ヤバイと思って中に入ったらビリビリがいたから一緒に探すことに。
その後無事に見つかって、ジャッジメントの子の近くにいたから、良かったーなんてほっとしてたら、なんとその子が抱いていたぬいぐるみが爆弾だとか言い始めた。
俺はとにかくその子達の前に出て、右手で爆発を防ごうとした。ビリビリもなんかやってたけど、あまり見ている余裕はなかった。
結果として、爆発は防げた。能力によるものじゃなかったらどうなっていた事やら。

そんで爆弾魔の方も捕まったらしく、メデタシメデタシ……と思いきや、店の入り口でビリビリが待ち伏せしていた。
けど珍しく勝負しようという事ではないらしく、なんかヒーローがどうのこうのって言ってた。
とりあえず、みんな無事だったんだからどうでもいいだろって言っておいたけど、なんか帰りに怨念のようなものを感じた気がする。
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 20:01:42.82 ID:fGIKZJZr0
なんかサル厳しい

7月19日
今日は、ついに明日から夏休みって事で浮かれすぎた。
表紙で明らかに地雷だって分かるマンガを買ったり、腹も減ってないのにファミレスで無駄食いするかー! とここまではまだ良かった。
その後の不良にからまれているビリビリを見て、助けてやっかなーって思ったのがダメだった。
結局八人もの不良から逃げるために夜の街を猛ダッシュするはめになった。ついでに食ってもねえ料理まで食い逃げ扱いされるし。
てかこんな不良を助けてやろうなんて俺がバカだったのか。

なんとか鉄橋まで逃げ切った俺だけど、そこに現れたのはレベル5の第三位、ビリビリ。
どうやら後ろの不良もコイツがやっちまったらしい。俺、完全に骨折り損じゃねえか。
ビリビリは必殺技のレールガンとやらも見せつけて、いつも通り俺に勝負を挑んだ。
いい加減うんざりしてきたから、どうしてそこまで俺にこだわるのか聞いたら、「自分より強い人間が許せないから」との事らしい。どこの格ゲーのキャラだ。
とりあえず、人を見下すような言い方は止めた方がいいとかって忠告してみたけど、聞く耳なし。
挙げ句の果てには、軍用のシスターズがどうのこうのとか訳わかんねえ事を言い始めた。

その後はやっぱりケンカになって、アイツは雷まで落としてきたけど、終いには向こうが力の使いすぎで勝手にバテた。
そういえばアイツは不良からある情報を聞き出そうとしてたみたいだったな。ジャッジメントの真似事か?
確か才能不足をズルして補う裏技……がどうとか。
うーんまぁ、そいつらの気持ちも分かんなくもねーけどなぁ。少なくともビリビリよりは。

……しっかしビリビリの攻撃は防げたけど、この停電はどうしたもんか。
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 20:02:49.08 ID:fGIKZJZr0
7月20日
今は21日。昨日は色々あって日記が書けなかったけど、本当に色んな事があった。
まずは朝。ベランダに白いシスターが引っかかってた。名前はインデックス。
今までいろんな不幸を経験してきたた俺も、あんなトンデモ展開は初めてだった。
魔術とか何とか訳の分からない事ばかり言ってる変な奴だと思ったな。その時は。
それでもやっぱり変な奴等に追われているのは本当らしく、補習の最中も気になって集中できなかった。
インデックスがウチに忘れてったフードは返そうと思えばその場で返せた。
でもなんでだろうな、そういう気は起きなかった。たぶん僅かでもいいから、何かしらの繋がりが欲しかったんだと思う。

補習の帰りにはビリビリに遭遇。ここの所毎日じゃねえか。
一応学園都市にある教会の事を聞いてみたら、素直に教えてくれた。
でもそのまま気持ち良くさようなら……とはいかなかった。やっぱり勝負を挑まれる。
面倒だったから、試しに脅すようなことをしてみたら、予想以上に効果抜群。まるで子犬のようにビクビクしてしまった。
自分からやっておいてなんだけど、俺もあんだけビビられるとちょっと傷ついたり……。

そして俺が自分の部屋まで帰ってくると、その前にインデックスが血まみれで倒れていた。
その後現れたのは炎を操る『魔術師』。そいつは何のためらいもなく俺を殺そうとした。
そいつによるとインデックスは頭の中に大量の魔道書を抱えていて、それを悪い奴等に利用されないように『保護』したいとの事だった。
俺は許せなかった。魔術師の言ってることなんてほとんど理解できなかったし、しようとも思わなかった。
どんな理由を並べても、あんな笑顔を浮かべる女の子を血まみれにしていい訳がない。

俺の幻想殺しは魔術なんていう訳分かんねえモノにも有効だった。
インデックスの助言もあって、なんとか炎の魔術師を倒した俺は小萌先生の家に彼女を連れていき、魔術で治療してもらう事にした。
超能力者には魔術は使えない。そしてこの右手のせいでいるだけで迷惑になる。俺はとんでもなく無力だった。
なんとか治療は成功した。小萌先生はちゃんとインデックスの言う通りにしてくれたみたいだ。
だけど、あの状態のインデックスはどこか心まで冷たくなったようで、どうにも嫌な感じがしてしまう。
75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 20:04:00.79 ID:fGIKZJZr0
7月21日
今日は小萌先生の家で目覚めた。先生の家に泊まるなんて初めてだ。
インデックスは昨日の疲れで、高熱を出した。だからしばらく先生の家で療養する事に。
先生はこっちの事情を深くは聞かないでくれた。ホントに良い先生に恵まれていると思う。

インデックスは全てを話してくれた。
彼女が所属するのはイギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』。魔術師を討つための部署。
魔道書図書館とは世界中の魔術師に対抗するためのもので、魔導書の汚れを一点に引き受ける役割も持つ。
それを何人もの魔術師が狙っている。魔術を極めた者、『魔神』になるために。
俺はイライラした。インデックスをそんな風に扱う奴等にも、それを隠して俺を遠ざけようとした彼女にも、何も分かってやれなかった自分にも。
とにかく俺はインデックスの事を守りぬくことに決めた。そして彼女は涙を流していた。これで少なくとも守らせてはくれる。
けどあの噛み付き癖は何とかしてほしかったり……。

そういえば必要なものを取りに一旦学生寮に戻った時に、なにやらデカイ音が聞こえた。
ウワサによるとスキルアウトと戦っていたジャッジメントがビルを倒壊させたらしい。
個人的にはそのジャッジメントの方がスキルアウトの何倍も恐ろしいと思う。

7月24日
やっとインデックスが完全回復した。さっそく風呂に入りたいと言ってきたから、夜になったら近くの銭湯に行く予定だ。
この三日、魔術師の攻撃は全くなかった。あんな状態を襲われたらどうしようもなかったから、ホントに良かった。
でもこれでインデックスも動けるようになったし、後はどこか彼女を保護してくれる教会まで行ってお別れ……か。
まぁ元々科学と魔術。本来関わり合いになる事なんてなかったんだ。こうやって少しの間でも一緒に居れたんだから、俺にしてはラッキーな方だろ。
…………あー、なんでこんな気持ちになるのかねぇ……。

TVでは第十学区に巨大生物出現とかなんとかで盛り上がっている。なんかの生物兵器が脱走でもしたんだろうか。
しかもさっきは変な音楽……というか音? がそこら中に流された。なんだったんだろうな。
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 20:05:52.44 ID:fGIKZJZr0
7月27日
夢をみた。長い長い夢だった。
まずは両親が出てきた。俺が学園都市に来る前の小さい頃の思い出。自分でも覚えていなかった思い出。
それから学園都市での思い出。ずっと忘れてた小学校時代の友達、浜面仕上くん。どこかへ行ってしまった白い髪の子。いつも俺を気にかけてくれたクモ姉ちゃん。
クラスメイトの吹寄、青ピ、土御門。いつも迷惑ばかりかけてしまっている小萌先生。やたらと俺に突っかかってくるビリビリ女、御坂美琴。
そして……インデックス。
彼女は泣いていた。
誰にも助けてもらえずに一人で泣いていた。

目が覚めたら三日経っていた。
あの銭湯へ行く途中、俺は魔術師、神裂火織と戦ったが、手も足も出なかった。
そこで知った事実。インデックスの記憶喪失の謎。あいつらがインデックスを狙う本当の訳。

今はインデックスはぐっすり眠っている。だけどもう時間がない。放っておいたらインデックスは死んでしまう。
本当はこんなのんびりと日記を書いてる場合じゃない。だけど、どうしたらいいのかが分からない。だからこうやって少し落ち着こうとしている。
インデックスを救うには記憶を消去するしかない。それは分かってる。でもどうしても納得できない。本当にそんな方法しかないのか。

認めない。どうやっても救われないなんていう悲しい結末しかない物語は認めちゃいけない。
そんな今までの悲しい物語は全部まとめてぶち壊してやる。方法がないなんて諦めるな、ないなら作ればいい。
誰もが笑えるような結末を必ず……。
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 20:08:10.12 ID:fGIKZJZr0



禁書「とうま、とうま! 古文の宿題は見つかんないけど、代わりにこんな変なノートが出てきたんだよ! これなに?」

上条「ん? あぁそれは前に小萌先生が届けてくれたんだっけか。絶対俺のもんだって。
   でも俺はそんなノート見覚えねえし、なんか鍵までかかってるから、ちょい気味わりーんだよな」

禁書「ふんふん、鍵のかかった謎のノート……もしや何かの魔道書の原典かも!
   そんな気配は全くしないけど、もし禁書目録(わたし)を騙しているのだとしたら、相当な術式が組み込まれている可能性も……!!」

上条「なんで小萌先生がそんなもん持ってんだよ……。ていうかそれより早く宿題探してくれ! 夏休みが終わっちゃいます!!」

禁書「むぅ、しょうがないなぁ。じゃあこの変なノートはここに置いておくよ? って聞いてないんだよ……」

上条「ああもう、いつもの事だけど、不幸だああああああああああああ!!!!!」


おしまい。
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 20:10:46.81 ID:6ZoTVzys0
>>1
面白かった
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 20:11:43.83 ID:AQWvhCAMO
こういうの好きだわ
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 20:43:23.37 ID:iSXit2/n0
切ないな…

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