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律「しっかり頼むぜ、部長さん」

ライトノベル新刊情報サイト「ラノベ総合案内所」が出来ました.

3: 1 2010/12/25(土) 22:22:23.45 ID:WgEyKHJE0
3月9日、無事卒業式が終わった。




梓は自室のベットで仰向けになり、じっと天井を眺めていた。
もう時間は夜中の11時を過ぎている。

梓「卒業しちゃったなー先輩。明日から春休み。そして私が…部長か。」
先輩のサプライズだった、天使にふれたよを口ずさみながら
明日以降のプランを立てようとしていた…

が、集中できるはずもない。
4: 1 2010/12/25(土) 22:23:52.51 ID:WgEyKHJE0
梓「明日も学校行って、部室の戸を開けたら、
 唯先輩と律先輩がケーキ取り合ってて、澪先輩は呆れながら、
 むぎ先輩は喜びながら見てて…。」

梓は寝返りを打ち、枕に顔をうずめた。
程無くして、懸命に耐えようとするが堪え切れず
泣き声が聞こえてきた。

涙だか鼻水だかなんだかわからない液体でまくらがビショビショに
なった時、鳴き声がだんだん寝息に変わっていった。
5: 1 2010/12/25(土) 22:25:18.28 ID:WgEyKHJE0
翌朝、少し目が腫れている梓だったが
梓「悩んでも仕方ない!今日から純と憂も軽音部員だし
  皆で協力してやって行くしかないよね、フンス!!」

己を奮い立たせ強い足取りで学校へ向かう。
グランドの運動部員たちの中には、入部を決めている中学生だろうか。
見慣れぬジャージを着た若々しい女の子が、
目を輝かせて先輩の後に続いている。

梓「うちも、頑張らなきゃ…。」
6: 1 2010/12/25(土) 22:27:40.55 ID:WgEyKHJE0
少し寂しさが漂う廊下を歩き、部室を目指す。
見慣れた部室の扉の前まで来た梓は、一度立ち止まった。
梓「この扉を開けると、先輩はもういない…。」
震える手をこらえ、扉を開ける。

6つから4つに減った机に、純と憂が座っていた。
純「あ、梓来た来た!遅いよー」
梓「ごめん純。ちょっとぼーっとしてて」
純「しっかりしてよー部長。新入部員獲得大作戦の招集かけたの
  梓でしょ。さぁ、始めよー☆」
純が楽しそうに右手を突き上げた。
梓「そだね、がんばr…」
俯いたまま一言も喋らない憂へ、梓が声をかける。
梓「憂?どうしたの?」
純「あー、なんか昨日から唯先輩が遊びに行ったきり帰ってこない
  んだってさ。」
憂「うん…。大丈夫かな、お姉ちゃん。」
7: 1 2010/12/25(土) 22:30:05.93 ID:WgEyKHJE0
梓「4人で遊びに行ったっきり盛り上がったまま帰ってこないだけじゃないの?」
純「そうだよー、澪先輩も帰ってきてないみたいだしさ。」
梓「なんで純がそんなこと知ってんの…。」
純「ふん。…ちょっとまってねー、じゃーーーん!!」

そう言って純がポケットから、名刺のようなものを取り出した。
梓「何それ…」
梓が名刺のようなものを受け取り、眺める。

梓「秋山澪ファンクラブ…会員no.001…会長*鈴木純!?」
純「そう!真鍋先輩から引き継ぎましたー☆会長の情報網で、
  澪先輩がまだ帰って無い情報を入手」

純がこちらを得意げにウインクして見てくる。
そんな得意になる事じゃないと気付いて欲しいものだが、
梓はめんどくさがりこれ以上は言及しない事にした。
9: 1 2010/12/25(土) 22:32:02.28 ID:WgEyKHJE0
梓「とにかく!始めようよ…って山中先生は?」
純・憂「あ」
どうやら二人とも忘れていたようだ。
呆れた梓が、呼びに行く事にした。
よろしくー☆と純の能天気な声を背に部室を後にする。


梓「…不安だなー。色々と。」
10: 1 2010/12/25(土) 22:34:39.10 ID:WgEyKHJE0
やはり春休みのせいか、校舎内を歩き回ってもほとんど誰とも出会うことが無い。
窓の外をぼんやり眺めていると、職員室を通り過ぎそうになった。

職員室のドアを開けると、さわ子がこちらに気づいた。
さわ子「あ、梓ちゃん!」
梓「先生、今日は先生だけですか?」

辺りを見回してもさわ子以外の姿は無い。
さわ子「今日は私だけねー。」
梓「そうですか。とりあえず3人揃ったので、部室来てもらってもいいですか?」
さわ子「わかったわ。あ、そうそう。渡すものがあるの。」
11: 1 2010/12/25(土) 22:36:36.13 ID:WgEyKHJE0
梓「私にですか?」
さわ子「うん、これ。桜が丘女子高等学校2年1組 中野梓さん…
    ファンレターじゃないww?」

そういってさわ子が、ノートを破いて折りたたんだ手紙を取り出し、
にやにやしながら梓に手渡した。

梓「冗談はよして下さい、読みますね。」
12: 1 2010/12/25(土) 22:38:16.43 ID:WgEyKHJE0
「「梓か?律だ。

ちゃんと梓の元に行くとは、ほぼ思えないけど

でもこうするしか私には手が思いつかないから

とにかく、ここから書く事は全て真実だ

心して聞いてくれ




まず、これを梓が読んでいるという事は

私と唯はもうこの世にはいない」」


梓「…!?」
13: 1 2010/12/25(土) 22:42:09.93 ID:WgEyKHJE0


――3月9日某時刻――



コンクリートの床の上で律は目覚めた。

律「…なんだここ!?いつの間にこんなとこに?昨日は確か皆で
 夜中までカラオケ行って帰り道にコンビニ行って・・・そっから覚えてねーや」
 見回すと、上下左右一面にコンクリートが広がっていた。
 律の左足には鉄の足枷が付けられている。
 そばには自分のバッグ。
14: 1 2010/12/25(土) 22:46:00.96 ID:WgEyKHJE0
後ろを振り向くと、ガラス張りになっていた。
上部にカウンターのようなものがある。
そして向こうは4つに区切られていて、右から唯、澪、紬がいる。
…いちばん左は誰も居ないようだ。
向こうの各4部屋は遮断されているようで、移動する様子は無い。


目覚めた私に気が付いた3人が、悲痛な顔を浮かべながら分厚いガラスを叩く。
口が動くのが分かるが、何も聞こえない。

律「皆ー!なんだよこれー!!!いったいどこなんだよここー!!」

何度も何度も、叫んだ。
声が枯れるほど、叫んだ。

律がいくら力いっぱい叫んでも、
3人の声が届かないように律の声も3人には届かないようだ。
16: 1 2010/12/25(土) 22:46:53.82 ID:WgEyKHJE0
律「どうしろっつーんだよ…」
疲れてコンクリートの上で大の字になった。

律「そうだ!携帯…」
淡い期待を胸にバッグから携帯を取り出す。
しかし、無情にも左上に表示された圏外の文字が
律の希望を軽く打ち砕いた。
17: 1 2010/12/25(土) 22:48:06.65 ID:WgEyKHJE0
律「そりゃそうだろーな。どうしようもねーじゃんかよ…ん?」
バッグに見慣れぬものが入っているのに気づく。
どうやらボイスレコーダのようだ、随分年季が入っている。
手に取って、電源を入れてみた。

「「録音  1ケン」」
律はすかさず再生ボタンを押した。
18: 1 2010/12/25(土) 22:51:10.13 ID:WgEyKHJE0
「…おはよう律。コンクリートの目覚めはどうだい?

  今何が起きているか、ここはどこなのか知りたいだろう。
 
  教えてあげよう、助かった人間には。

  君たち軽音部みんなでゲームをしよう。

  ルールは単純、拳銃を一丁律のバッグの奥に用意したから、

  それで誰か一人を撃ってもらう。取り出してみて欲しい」」

そう聞いてすかさずバッグの底を漁る。
律「…これか」
19: 1 2010/12/25(土) 22:54:26.65 ID:WgEyKHJE0
「「誰を撃つかは、元部長の君が決めるんだ。

  誰か一人を撃てば、残りは君も含めて全員解放する。

  とはいえ、元部長として部員は撃ちたくないって思うかもしれないから、

  自分のこめかみに銃口を向けて引き金を引けば、他の皆は解放する。

  拳銃は弾を込めて、引き金を引けば撃てるようになっているから

  心配しないでぶっ放すといい。

  一つ注意点を言う。いつまでも待ってられないから、制限時間を設ける。

  2時間経つごとに…一人ずつ殺していく。
20: 1 2010/12/25(土) 22:59:25.66 ID:WgEyKHJE0
  だから、8時間経過で4人には死んでもらう。

  律には動かない仲間を見て悲しみ悶えながら、死んでもうとしよう。

  自分を犠牲にして、皆を救うか。

  誰かを犠牲にして、自分が助かるか。

  選択は君次第だ。」

律「ちょっと待てよ!お前いったい誰だ!!」
そこで録音は終わっていた。
律はしばらく俯いてじっとしていたが、カウンターが秒読みを始める
音が聞こえ振り向いた。
21: 1 2010/12/25(土) 23:01:55.39 ID:WgEyKHJE0
「7:59:55」

カウンターは確実に数字を刻んでいた。

律「くそっ、どんな冗談だよ!撃てるわけないじゃんか」
分厚いガラスで閉ざされた、声の届かない仲間を眺める。
唯は必死で何かを考えているようだ、だが期待は出来ないだろう。
澪は泣いているのだろうか、三角座りしたまま顔を伏せている。
紬は、よくわからない。

律「こんなの冗談に決まってる!…」
そう言って、拳銃を投げ捨てる。
ガラスと反対を向いて側臥位になりぼーっとしていた。
23: 1 2010/12/25(土) 23:05:10.15 ID:WgEyKHJE0
どのくらいの時間が過ぎただろうか、
そう、もうすぐ2時間が経つ気がする。
強がっていた律だが不安を隠しきれなくなってきた。
耐えかねて後ろを振り返る。

「5:57:52」


どうやらちょうど2時間が経過したようだ。
しかし、唯の身に何も起こらない。
25: 1 2010/12/25(土) 23:07:40.31 ID:WgEyKHJE0
律「やっぱり…こんなのじょうd」


その時、小さく銃声が聞こえた。
と、同時に唯から鮮血が噴出した。

律「…唯!?」
律がその場に茫然と立ち尽くす。
律の表情の異変に気付いたのか、紬がガラスを叩いたが、
何も出来るはずが無い。
律「はは…は……ははは」
力無く笑い、崩れ落ちた。
26: 1 2010/12/25(土) 23:12:59.09 ID:WgEyKHJE0
どうやらそのまま意識を失っていたようだ。
気が付くと、唯が死んでから1時間が経過していた。

律「…これは冗談なんかじゃない。本当に…殺される……」
そうつぶやいて、静かに拳銃に手を伸ばす。
銃口の中をのぞいてみる。
このまま吸い込んでくれればいいのに・・・なんて事を思い、現実から目を背ける。
ただ、減っていく時間が突きつける現実に、律は悩まされていた。

ふと前を向くと、拳銃を持っている事に気づいた紬が驚いた顔でこちらを見ている。



無理も無い。

そして、澪はあれからずっと三角座りのままだ。
27: 1 2010/12/25(土) 23:15:37.41 ID:WgEyKHJE0
理性を失いかけている律が、すっと澪のほうへ銃口を向ける。
律「こちらに気づいて怯えてるむぎより、何も見えてない澪のほうが・・・」
律の人差し指に、力が入った。



しかし、その震えた手から拳銃が落ちた。
律「・・・・・・・何やってんの、私。何やってんの。撃てるわけ無いじゃん。
  澪だよあれ。撃てるわけ、無いじゃん。」
その間紬は屈んで小さくなり、半泣きになりながら怯えていた。
律「澪もむぎも、大切な・・・大切な仲間だ。撃てない。・・・いや、撃たない」

小さく唾を飲み、目を瞑り、何かを決意したようだ。
28: 1 2010/12/25(土) 23:17:10.32 ID:WgEyKHJE0
律「そうだ・・・そもそもこんなこといったい誰が。」
そう言って律はおもむろに録音をもう一度聞き始めた。



「「元部長の君がー・・・元部長としてはー・・・」」
律「元・・・部長か。こいつは私が元軽音部の部長って知ってたんだよな・・・
  それに軽音部の4人を集めた・・・関係者かなぁ」
29: 1 2010/12/25(土) 23:21:46.79 ID:WgEyKHJE0
「「8時間経過で4人には死んでもらう。

  律には動かない仲間を見て悲しみ悶えながら、死んでもらー・・・」」
そこで律が一時停止ボタンを押した。
律「・・・ちょっと待てよ。なんか、違和感が無いか?」




普段ならこんな要素、律にはピンとこなかっただろう。
律「4人・・・には?4人しかいないのに、にはなんて言い方するか?
  全員死ぬ、とかでいいよな。
  それに、拳銃で撃たれたら悲しみ悶える間もなく即死だよな。
  この録音、全員で4人では無い想定なのか・・・
  だとすると他に誰かがいんのか?でも一番端は空だ、隠れる場所も無い。
  この録音、いつ、誰が、何のために?
  そしてあの空部屋の意味はいったい




  ・・・まさか」
31: 1 2010/12/25(土) 23:23:53.43 ID:WgEyKHJE0
律はバッグからペンとノートを取り出し、
何かを書きなぐった。
そして、書き終えると同時に銃口を自らのこめかみに向け、引き金を引いた。






律がその場に崩れ落ちて、数分たった後、
2発の銃声が小さく響いた。
32: 1 2010/12/25(土) 23:28:29.80 ID:WgEyKHJE0
――――

「「梓、これで私が伝えられる事は全てだ。

  誰の仕業かはわからないが、とにかく早く逃げろ。

  確実に梓もこの中に参加させるつもりだったはずだ。

  出来るだけ、遠くに逃げるんだ。

  憂には、唯を守れなくてすまんと伝えてくれ。

  澪とむぎに会えたら、この手紙を見せてくれ。



  しっかり頼むぜ、部長さん

  元部長、田井中律」」

そこで、手紙は終わっていた。
33: 1 2010/12/25(土) 23:31:41.46 ID:WgEyKHJE0
読み終えた梓は、まだ半分信じられなかったが、
小さくこう呟いた。

梓「・・・逃げなきゃ・・・。」
さわ子「どうしたの?落ち着いて梓ちゃん」
梓「でもこの手紙・・・」
さわ子「大丈夫、まずは落ち着きなさい。先生に任せてくれればそんな必要無いわよ」
梓「先生・・・」
















さわ子「だって、もう逃がさないもの」

―END―

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/25(土) 23:32:28.71 ID:D+OxRU4t0
えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ

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