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律「梓?あぁ、あいつは苦手だな」

ライトノベル新刊情報サイト「ラノベ総合案内所」が出来ました.

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/22(水) 21:04:44.39 ID:ePf7qm/Z0
梓「……え?」


掃除当番で部室に来るのが遅くなってしまった梓は、
息を切らしながら部室の前に立っていた。
ドアを開けようと伸ばした手が固まり、
力が入らなくなってだらんとだらしなく垂れ下がった。
足が少しだけ震えていた。

今中から聞こえてきた、我が軽音部の部長の言葉を頭の中で繰り返す。

『梓?あぁ、あいつは苦手だな』

どくんどくん、と心臓が嫌な風に脈打っていた。
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/22(水) 21:06:01.61 ID:ePf7qm/Z0
――――― ――
梓「こんにちはー……」

澪「あ、梓!」

唯「あずにゃん、良かったあ」

紬「昨日来なかったから皆心配してたのよ?」

梓「すいません」

律「何で昨日無断欠席したんだよ?」

梓「」ビクッ

梓「(いつもより冷たく感じる……昨日あんなこと聞いたからなんだろうけど)」グッ

律「梓?」

梓「すいませんでした、これからはちゃんと連絡するように気をつけます」

律「いや、別にいいけどさ」

唯「ま、あずにゃんも来たしお茶にしようよ!」

――――― ――
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/22(水) 21:07:22.06 ID:ePf7qm/Z0
昨日、ショックが抜け切らないまま家に帰りついた梓は、すぐに部屋に入るとベッドにもぐりこんだ。
胸の奥がもやもやとしていた。
妙に苦しかった。

梓「(……私だって、律先輩のことなんか大嫌いだよ)」

他の先輩たちと比べて、部長の癖に不真面目でふざけているように見える律のことを、
梓は入部した当時からずっと、嫌いだと思っていた。

梓「(寝たらこんな気分、忘れられるよね……)」

制服のままで、皺がつくことがわかっていても起き上がる気力がなかった。
だから梓はそのまま、律の言葉を頭から締め出そうとぎゅっと目を閉じた。


梓「……」

梓「(あ、だめだ。昨日のこと思い出したらよけいに変な気分になってきた)」

ギターケースを開けながら、梓はふるふると首を振った。
あの時の気持ちがまた、胸の奥から競りあがってくる。

梓「(嫌いな人に苦手って言われたんだから、清々するはずなのに)」

紬「梓ちゃん?」

梓「は、はい!」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/22(水) 21:09:41.86 ID:ePf7qm/Z0
律「何ぼーっとしてんだよ?練習すんぞ」

梓「す、すいません」

慌ててギターを持って立ち上がろうとした。
しかし、慌てすぎたせいでギターケースに自分の髪の毛が挟まってしまった。

梓「いたっ……」

唯「あずにゃん大丈夫!?」

澪「梓、何かあったのか?今日ずっと暗い顔してるし……」

梓「そんなこと!」チラッ

律「……」

梓「……ないです」

唯「本当に?」

ギターケースの蓋を開け、梓の髪を救出しながら唯が心配そうに訊ねる。
梓は大きく頷いた。もう律のほうは見なかった。

梓「(思い切り目、逸らされたし……)」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/22(水) 21:10:27.55 ID:ePf7qm/Z0
紬「それじゃあ一度ふわふわ時間、合わせるのよね、りっちゃん?」

律「え?あ、あぁ、うん」

澪「律も律でどうしたんだよ、考え事?律に至って悩み事はないだろうけど」

律「ひどっ。私だって色々悩んでるんだからな!」

澪「はいはい」

律「梓」

梓「……はい?」

律「もう演奏できるな?」

梓「……はい」

律「」ジッ

梓「あ、あの……」

律「よーし」フイッ

律「んじゃあ行くぜ、1、2、3!」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/22(水) 21:15:41.84 ID:ePf7qm/Z0
――――― ――
梓「(……疲れた)」

帰り道、先輩たちと別れ一人で歩く梓は、背負ったギター以外の重みも肩に感じ
ながら足を進めていた。

梓「(思えば私、律先輩と今までちゃんと話したこと、あったっけ?)」

入部してから今までのことを振り返っても、梓は律とちゃんと話した記憶がまったく
と言っていいほどなかった。
それなのに「苦手」だと言われた。それに、今日の律の様子を思い出して、梓は
心まで重くなったように感じた。いつもの律なら、もっと笑顔で梓にちょっかいを
かけてくるはずだ。

梓「(なのに……)」

そこまで考えて、梓はその先の思考を断ち切った。

梓「何暗くなってんの、私」

わざと、自分に喝を入れるために声に出して梓は呟いた。
誰かが自分のことを苦手だとか嫌いだとか言っているのを聞いたら、きっとどんな
人間でも傷付く。 昨日からのショックが抜け切らないのはそのせいだ。

梓「(でも相手は律先輩だもんね、澪先輩や唯先輩たちじゃないんだから……)」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/22(水) 21:18:15.74 ID:ePf7qm/Z0
梓「……大嫌いなんだから」

昨日、思ったことを口にした。
何となくすっきりとした。
だけど、それでもまだ胸に何かが残っている気がする。
しかしそれを無視して、梓は晴れ晴れとした表情を浮かべてみた。

梓「(大丈夫、私!)」

――――― ――
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/22(水) 21:19:29.17 ID:ePf7qm/Z0
次の日

梓「(よしっ、いつもどおりいつもどおり)」

部室の前で深呼吸。
何度も吸っては吐くを繰り返す。

梓「(これで律先輩さえ中にいなければ完璧なのに)」

そう思いながら、梓は部室の扉を開けた。
そして自分の運を呪った。

律「おっす」

中には律しかいなかった。
律は、読んでいた雑誌から目を上げることなく軽く手を上げて梓を迎えた。

梓「(最悪だ……まだ律先輩以外誰も来てない……)」

律「梓、座れば?」

梓「は、はい」

中に入って突っ立ったままだった梓に、
律がやはり視線を梓に移すことなく声を掛けた。梓は裏返ってしまった声で、
自分がまだ律の言葉を引きずってるのを自覚した。

律「……別に緊張しなくてもいいだろ?」

ぎこちなく定位置に腰を下ろした梓に、律が小さく苦笑した。
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/22(水) 21:22:30.42 ID:ePf7qm/Z0
梓「……別に緊張してるわけじゃないです」

小さな声で、梓は答えた。
緊張してるわけじゃない。ただ、自分のことを良く思っていないと知っている人と
二人きりだと思うと、楽しそうになんてしていられるはずない。

律「そ」

梓「はい……」

特に興味もなさそうに律は言うと、再び部室に沈黙が訪れた。
仲の良い間柄の沈黙は、梓は好きだった。しかし、お互い嫌い合っている関係での
沈黙に、梓は慣れていない。 どうにも居心地が悪かった。

梓「……私、練習しますね」

だからその沈黙をどうしても破りたくて、梓はガタッと音を立てて立ち上がった。
さっき近くに置いたギターを手に取る。律が顔を上げてきょとんとした表情で梓を見る。

律「まだ皆来るまでゆっくりしてたら?」

梓「で、でも練習、しなきゃですし!」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/22(水) 21:53:33.60 ID:ePf7qm/Z0
梓「(それにこのまま二人っきりで黙ってるの嫌だし……)」

律「練習熱心だなあ」

梓「そういうわけじゃないですけど」

そう言いながら、梓はギターケースを開けると愛用のギターを取り出した。
すぐに雑誌に目を戻すと思っていたのに、律は梓がギターに触れる様子をじっと
見ていた。
視線を感じる梓が目を上げると、ちょうど自分を見ていた律と目が合った。

律「……」

梓「あ……」

やはりパッと目を逸らされ、梓はまた気分が暗く沈んでいくような気がした。
それでもそれを振り払うと、「よいしょ」と声を出して立ち上がる。

律「……私も練習しよっかな」

その時、ふいに律が呟いた。
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/22(水) 22:18:17.25 ID:ePf7qm/Z0
ギターのチューニングを始めていた梓は、思わず驚きの声を上げてしまった。

律「なんだよー?」

梓「い、いえ、ただ意外だなっていうか……」

律「ふーん」

梓の言葉を聞くと、律は拗ねたように開いていた雑誌に目を落とした。
しかしすぐにそれを閉じると、立ち上がる。

律「もっと後輩らしくしろよなー」

頬を膨らませながらドラムセットの前に立つ律。
そこで梓は「もしかして」と思った。
今まであまり関わってこなかった律が自分のことを「苦手」だと言う理由。
それはもしかしたら、後輩の癖に生意気に「練習しましょう!」と言っていたりした
からじゃないだろうかと。

梓「す、すいません!」

だから梓は思わず頭を下げていた。

梓「(別に律先輩に嫌われててもいいんだけど……その辺りはちゃんと謝らなきゃ)」

頭を下げたまま、自分に対しての言い訳。
そして、顔を上げると、困惑したように梓を見る律の姿が見えた。
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 08:38:02.86 ID:ggs6BdrY0
律「別に謝らなくてもいいけどさ……」

ドラムの上に置いてあったスティックを手に持つと、律は言った。
そのままドラムセットの前に腰を下ろすと、梓を見た。

律「一回合わせてみようぜ」

梓「え……」

律「嫌?」

梓「そんなことないですけど……」

呟くように梓は答えた。
律はもう、ドラムを叩いて音を確かめている。
仕方なく、梓もギターを構えた。
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 08:43:07.29 ID:ggs6BdrY0
律「梓、いい?」

梓「はい」

頷くと、律は頭上にスティックを構えて叩こうとした。
その時、部室の扉が勢い良く開き、元気な声が響いてきた。

唯「やっほー!」

律「お、唯ー」

遅くなってごめんねと言いながら唯、そして澪に紬が入ってくる。
梓はほっとした気分でギターを下ろした。

澪「二人で練習してたのか?」

律「いや、練習つーか合わせようと思ったんだけど……」

ちらりとギターを下ろした梓を見ると、
律は「ま、いっか」と呟いた。

梓「(あれ?律先輩、私と一緒にいてもすることないからセッションしようって
言い出したんじゃないの?)」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 08:43:55.35 ID:ggs6BdrY0
律「ムギ、お茶にしようぜ」

紬「はーい」

梓の志向を遮るような律の大きな声。
紬が元気に返事をして早速お茶を用意し始める。
唯と澪がそれぞれの場所に座った。梓もそれに倣いながら、そっと律の様子を伺った。

梓「(やっぱり律先輩、私といるときよりすごく楽しそうな顔してる)」

梓「(……何か嫌な気分)」

――――― ――
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 08:53:18.99 ID:ggs6BdrY0
その日から度々律と二人きりになることがあった。
それでももう、律は梓にセッションしようとは言い出さず、梓も梓で未だに会話の
糸口さえつかめずにいた。

今日もまた、部室には律以外いなくて、梓は重い気分のまま部室に入った。

梓「こんにちは」

律「おう」

また律は、雑誌を捲っていた。会話は何も無い。
こんなとき、梓は大人しく椅子に座って律の様子を観察するのが日課になりつつあった。
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 08:54:07.83 ID:ggs6BdrY0
梓「(また音楽雑誌見てる。折り目とかいっぱいだし、だいぶ読み込んでるんだろうな)」

ペラッ

梓「(ドラムのページ……抜かしちゃうんだ)」

ペラッ

ここ最近、律を観察していた梓が、律について少しだけわかったことがあった。

梓「(……律先輩って案外、ちゃんと軽音部のこと考えてるんだよね)」

普段の律の行動は、とてもそうには思えなかった。
なのでずっと、梓は律が嫌いだと思っていた。
でも、今はどうしてもそうは思えなかった。

梓「(何で今更、こんなことに気付くんだろう)」

律のことがだんだん嫌いになれなくなる。
だからこそ、以前聞いた律の言葉が重く梓にのしかかる。
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 08:57:00.61 ID:ggs6BdrY0

今日は天気が悪く、部室は暗い。
それなのに律は相変わらず雑誌を捲る。

梓「暗くないですか?」

律「んー……確かに暗いな」

恐々と梓が訊ねると、律は頷き顔を上げる。
電気をつけようと立ち上がった梓は、「梓」と自分を呼ぶ律の声にびくっと固まってしまった。

律「怖がる必要ないだろ」

梓「ですよね……」

律の言葉に曖昧に頷き、梓は笑って見せた。
それがひきつっていたのかも知れない。律の表情が不機嫌そうになる。
梓が慌てて取り繕おうとしたとき、雨が降り始めた音と共に唯たちが扉を開けて
入ってきた。

唯「さわちゃんの話長すぎだよー」

澪「唯がちゃんと聞かないからだろ」

紬「遅くなっちゃってごめんなさい」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 12:53:31.88 ID:4E4XeAsk0
明るい三人の声に、梓はついほっとして声を弾ませた。

梓「こんにちは、唯先輩、澪先輩、ムギ先輩!」

ガタンッ

律「悪い、今日は帰るわ」

後ろを振り向くと、怒ったような律が立っていた。
律は梓のすぐ横を通り抜けると、それっきり何も言わずにカバンを持って部室を
出て行ってしまった。

梓「あ、あの……!」

唯「りっちゃん!?」

紬「唯ちゃん、待って!」

唯「え?でも……」

澪「梓、梓も……って、梓!?」

足が勝手に、律を追いかけ様と動き出していた。
澪や紬が止めるのも聞かずに。
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 13:16:44.78 ID:4E4XeAsk0
梓「(どうしよう……!でもこれ以上律先輩に嫌われたくないよ……)」

部室を飛び出して、階段を駆け下りる。
下駄箱のところで、梓は急ぎ足の律の姿を見つけた。

梓「律、先輩……!」

律「梓……!?」

律は一瞬、戸惑ったように立ち止まった。
しかしすぐに梓から逃れるように走り出した。

梓「待って下さい、律先輩!何で逃げるんですか!」

律「梓が追いかけてくるからだろっ」

梓「先輩が逃げるからじゃないですかっ」

そんなことを繰り返し、結局近くの公園まで来て二人とも走れなくなってしまった。
梓と距離を置きながら、律が「こんなに走ったのは久しぶりだよ」と力なく呟く。

梓「私もですよ」

律「それで?……なんで追いかけてきたんだよ?」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 14:11:45.09 ID:4E4XeAsk0
梓「……それは」

いざ律を前にしてみると、なんと切り出せばいいのかわからない。
「以前私のことが苦手だって聞きました、その理由を教えてください」なんて言えるはずもなく、
梓は視線を泳がせた。

律「……嫌いなんだろ」

突然、律が吐き捨てるようにそう言った。
地面にへたりこんでいた梓は、「へ?」と律を見た。

律「……私のこと、梓は嫌いなんだろ?」

梓と目を合わそうとはせずに、律は言った。
何と答えればいいのかわからずに、目を伏せる。
しかし、自然に口が開いていた。

梓「先輩こそ……」

律「私がなに?」

梓「律先輩こそ、私のこと苦手だって……言ってたじゃないですか」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 14:26:37.72 ID:4E4XeAsk0
律「そんなこと言った覚えないけど……」

梓「言ってました!たぶん結構前に……『梓?あぁ、あいつは苦手だな』って」

梓を凝視したまま、律の動きが止まった。
俯いていた梓はそれに気付かずに話し続ける。

梓「あの日からずっと……律先輩とちゃんと話せなくて。だから、もし律先輩に不快な思いを
させてたんなら謝ります、それで、私を嫌う理由を教えてくださいっ、そこを直しますから……」

梓「(もうどう思われたっていい、ただこれ以上律先輩に嫌われたくない!)」

律「あの、梓さん……?」

梓「……は、はい?」ビクッ

律「私が苦手とかなんとかって言ってたの、いつ?」

梓「だから結構前です、えっと……」

律「梓が無断で休んだ日?」

梓「……はい」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 14:40:45.11 ID:4E4XeAsk0
頷いた途端、律は「うわあああああ」と雨に濡れた髪をかきむしった。
傘もささずに追いかけっこをしていたので、二人ともびしょ濡れだった。

律「……あ、あのさ、一つだけ確認していいか?」

梓「……なんですか?」

律「梓の態度が変わったのって、もしかして私のその言葉を聞いたから?」

梓「態度変わったつもりはありませんでしたけど……」

確かに、挙動不審になっていたし、端から見れば梓が律を避けているようにも
見えたかもしれない。
梓はそこまで考えてはっとした。

梓「(さっき律先輩が私が先輩のことを嫌ってるって言ってたのは私の態度のせい……?)」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 14:46:57.73 ID:4E4XeAsk0
律「じゃあさ、梓はその……私のことを嫌ってるわけじゃないの?」

梓「あ、当たり前ですよっ!確かに前は嫌ってましたけど……でも今は先輩として尊敬
してますし、嫌いなんかじゃないですっ!」

律「……」

梓「(って私は何を……律先輩は黙っちゃってるし……私の言葉も止まらない……)」

梓「でも、律先輩は私のことが嫌いなんですよね?わかってます、だから……」

律「ストーップ」

梓「」ビクッ

律「梓、私はまだ、お前にちゃんと言ってなかったことがあった」

梓「え?」

律「だから、あいつは苦手だなって奴……あれさ、梓のこと言ってたわけじゃないんだ」

梓「……よく言ってることがわかりません」

律「あのな、あの時ムギの持ってきたケーキを選んでてさ。梓が遅かったからみんなで先に
食べようってことになったんだよ。そんで、梓の分どれを置いとく?って話になって」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 14:50:17.97 ID:4E4XeAsk0

唯『あずにゃんにどのケーキ置いとこっか?』

澪『今日はバナナタルトないんだな』

紬『ごめんなさい。でもこれなんかどうかしら?りっちゃん、聞いてる?』

律『え?ごめん、雑誌見てて聞いてなかった』

澪『だから、梓に置いとくケーキこれでいいかなって話』

律『梓?あぁ、あいつは苦手だな、このケーキ』



律「要するに、梓はその一部始終を聞いてショックを受けたわけだ」

梓「……で、でも、律先輩、その後の私への態度がいつもと全然違ってましたし……」

律「梓が先に違ったからこっちも何かあったのかなって思って話せなかっただけ!」

梓「(……ってことは、全部私の勘違い?)」

梓「(はっ、恥ずかしい!)」

律「おぉ、たこみたいに真っ赤だな」

梓「う、うるさいですっ」スタッ
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 14:56:55.44 ID:4E4XeAsk0
律「どこ行くの?」

梓「学校に戻りますっ、カバンとか全部置いてきちゃったので!」

律「梓」

グイッ

梓「り、律先輩?」

律「私はただの勘違いでよかったよ、梓に嫌われてるんじゃないのって思うとさ、
すっげー悲しかったからな」

梓「っ……」

律「これでやっとまた梓に心置きなくちょっかい出すことが出来るぜ」

梓「へっ!?なんですかそれ!?」

律「あれだよあれ、好きな子ほどちょっかい出したくなるって奴」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 15:12:07.77 ID:4E4XeAsk0
梓「」

律「さーてと、私もやっぱ学校に戻ろうかな」

梓「律先輩、あの……」

律「なに?」

梓「今のは」

律「さりげない告白ですが何か?」

梓「……はい?」

律「ほーら、雨も止んできたし早く帰るぞ」スタスタ

梓「り、律先輩……!」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 15:13:22.75 ID:4E4XeAsk0
律「遅いなあもう」

梓「(手、掴まれた…?)」

律「引っ張ってやるから早く帰ろうぜ」

梓「……は、はい」

梓「(勘違いして、良かったのかな。勘違いしなかったら律先輩への気持ちが変わらなかった
だろうし、律先輩のこと、何も知れなかった)」

律「梓、さっきの『先輩として尊敬してますし、嫌いなんかじゃないですっ!』って
言葉ずっと覚えといてやるからなー」ケラケラ

梓「」

梓「やっぱり訂正ですっ、律先輩なんか大嫌いですっ」カァ

終わる
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 15:14:48.47 ID:DxgsU3xxP
律梓とかやべぇ
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 15:15:50.45 ID:edYWTZ0n0


律梓もっともっと増えろ
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/23(木) 15:21:38.28 ID:Ft8dIi4h0

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